ニボルマブとイピリムマブは、第I相CheckMate-012試験で非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に有効性を示し、また腫瘍変異負荷(TMB)はバイオマーカーとして注目されている。そのような中、ニボルマブおよびニボルマブベースのレジメントと化学療法を比較した、無作為化オープンラベルマルチパート第III相CheckMate-227試験から、TMB高レベル患者(1メガベースあたりの変異が10個以上)における、ニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法群を比較したPart1の結果が、NEJM誌2018年4月16日号とAACR2018で同時に発表された。
・試験対象:PD-L1発現1%以上および1%未満のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者
・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ群
ニボルマブ単独群(TPS1%以上)
ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満)
・対照群:化学療法
・評価項目:[複合主要評価項目]高TMB(≧10/メガベース)患者におけるニボルマブ+イピリムマブ群対化学療法群のPFS、PD-L1発現(≧1%)患者におけるニボルマブ+イピリムマブ群対化学療法群の全生存期間(OS)、[副次評価項目]高TMB(≧13/メガベース)かつPD-L1発現(≧1%)患者におけるニボルマブ単独群対化学療法群のPFS、高TMB(≧10/メガベース)患者におけるニボルマブ+化学療法群対化学療法群のOS。そのほか、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・有効なTBMデータを有した1,004例のうち、高TMB(≧10変異/メガベース)患者は444例であった
・上記の444例は、無作為にイピリムマブ+ニボルマブ群139例、化学療法群160例に割り付けられた
・高TMB(≧10/メガベース)患者の1年PFS率は、ニボルマブ+イピリムマブ群42.6%、化学療法群13.2%。PFS中央値はニボルマブ+イピリムマブ群7.2ヵ月(95%CI:5.5〜13.2)、化学療法群5.5ヵ月(95%CI:4.4~5.8)と、化学療法に比べ、ニボルマブ+イピリムマブ群で有意に長かった(HR:0.58、97.5%CI:0.41~0.81、p<0.001)
・PFSサブグループ解析では、PD-L1発現(≧1%、<1%)、また組織型(扁平上皮、非扁平上皮)にかかわらず、ニボルマブ+イピリムマブ群で良好であった
・ORRは、ニボルマブ+イピリムマブ群で45.3%、化学療法群で26.9%であった
・Grade3/4の治療関連有害事象はニボルマブ+イピリムマブ群31.2%、化学療法36.1%であった
この結果は、高TMBのNSCLC患者における、ニボルマブ・イピリムマブ併用の利点と、患者選択のバイオマーカーとしての腫瘍変異負荷の役割を立証している。
■参考
CheckMate-227試験(ClinicalTrials.gov)
CheckMate-227試験(AACR2018ニュースリリース)
(ケアネット 細田 雅之)