未熟児網膜症(ROP)は、一般的に双眼倒像鏡眼底検査を用いて診断される。遠隔医療による未熟児網膜症の診断については、これまで、その正確さを対面診断の眼底検査と比較して評価する研究が行われてきた。しかし、対面診断が遠隔診断より本当に正確かどうかはわかっていない。米国・オレゴン健康科学大学のHilal Biten氏らは多施設共同前向きコホート研究を行い、臨床的に意義のあるROPの発見において、対面診断と遠隔診断との間で概して正確さに差はなかったが、平均すると対面診断のほうがzone IIIおよびstage 3 のROPの診断精度はわずかに高いことを明らかにした。ただし著者は、「どちらの診断法も検者によって変数精度があることを警告しつつ、今回の結果は、臨床的に意義のあるROPの診断法として、遠隔医療の利用を支持するものである」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌2018年5月号掲載の報告。
研究グループは、ROPの診断における眼底検査の対面診断と遠隔診断の精度と感度を比較する目的で、2011年7月1日~2014年11月30日に、米国およびメキシコの新生児集中治療室および大学病院の眼科、計7施設において、多施設共同前向きコホート研究を行った。
対象は、ROPのスクリーニング基準を満たした早産児281例で、経験豊かな臨床医による双眼倒像鏡眼底検査の実施に続き、3人の独立した遠隔画像読影者による広角眼底写真の遠隔診断を行った。いずれの診断も参照基準に合致し、両診断結果の一致率とκ係数を用いて評価された。
主な結果は以下のとおり。
・281例(女児127例、男児154例、平均在胎期間27.1±2.4週)の合計1,553件の検査が行われた。
・対面診断と遠隔診断の感度は、zone Iがそれぞれ78%(95%信頼区間[CI]:71~84) vs.78%(同:73~83)(p>0.99、165例)、plus diseaseが74%(同:61~87)vs.79%(同:72~86)(p=0.41、50例)、type 2(stage3、zone Iまたはplus disease)が86%(同:80~92)vs.79%(同:75~83)(p=0.10、251例)であり、いずれも同程度であった。
・しかしstage3の識別では対面診断の感度がわずかに高かった(85%[同:79~91] vs.73%[同:67~78][p=0.004、136例])。
(ケアネット)