米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、アテゾリズマブの第III相臨床試験IMpower150における全生存期間(OS)の中間解析結果を、フロリダ・ホスピタル・キャンサー・インスティテュートのMark A. Socinski氏が発表した。IMpower150は、Stage IV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)±ベバシズマブへのアテゾリズマブ併用療法の有効性と安全性を検討するオープンラベル無作為化多施設共同試験。
本試験では、1,202例の患者を以下の3群に1:1:1の割合で無作為に割り付け、各群の投与レジメンに従い3週に1回間隔で薬剤を投与した。
A群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)
B群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)
C群:カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)
主要評価項目は、EGFRまたはALKの遺伝子変異陽性患者を除くITT解析集団(ITT-WT)ならびにT細胞活性調整因子(Teff)の遺伝子発現により層別化した集団におけるPFS、およびITT-WT におけるOS。
主な結果は以下のとおり。
・A群に349例、B群に359例、C群に337例、ITT-WTの患者が組み入れられた。年齢中央値は63歳、62%が男性、85%が現在あるいは過去の喫煙者で、42%がECOG PS:0であった。
・データカットオフ(2018年1月22日)の追跡期間中央値は約20.0ヵ月。
・B群とC群の比較において、OS期間中央値は、B群が19.2ヵ月と、C群の14.7ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.64~0.96、p=0.0164)。
・PD-L1高発現患者(TC3またはIC3;136例)のOSは、B群25.2ヵ月、C群15.0ヵ月
(HR:0.70)、低発現患者(TC1/2またはIC1/2;226例)のOSは、それぞれ
20.3ヵ月と16.4ヵ月(HR:0.80)、発現なし(339例)のOSは、それぞれ
17.1ヵ月と14.1ヵ月(HR:0.82)であった.
・EGFR/ALK遺伝子変異陽性患者(104例)のOSは、B群NE、C群
17.5ヵ月であった(HR:0.54)。
・ITT-WT集団のうちベースライン時に肝転移のあった患者(94例)におけるOSは、
B群13.2ヵ月、C群9.1ヵ月であった(HR:0.54)。
・A群とC群の比較において、OSは、A群が19.4ヵ月と、C群14.7ヵ月に比べ延長傾向が確認された(HR:0.88、95%CI:0.72~1.08、p=0.2041)。
・全患者において、Grade3以上の治療関連有害事象発現率は、A群43%、B群57%、C群49%であった。
この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。
■参考
ASCO2018 Abstract
Socinski MA, et al.N Engl J Med. 2018 Jun 4.[Epub ahead of print]
■関連記事
アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でPD-L1発現、遺伝子ステータスに関わらずPFSの改善示す(IMpower-150)/AACR2018
抗PD-L1抗体アテゾリズマブ国内発売、肺がん治療に
※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら
(ケアネット 遊佐 なつみ)