EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるエルロチニブ+ベバシズマブの併用が、エルロチニブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが、第II相試験JO25567のこれまでの解析により確認されている。同試験の生存追跡調査結果を、国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科の山本 昇氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。
JO25567は、未治療のStage IIIB~IVまたは再発の非扁平上皮NSCLCで、活性型EGFR変異(exon19delまたはexon21 L858R)を有し、脳転移がなく全身状態良好な患者を対象とした、オープンラベル無作為化試験。患者はエルロチニブ(150mg/日)+ベバシズマブ(15mg/kgを3週間ごと)併用群もしくはエルロチニブ(150mg/日)単剤群に無作為に割りつけられた。
主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、副次評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、QOL、安全性であった。
主な結果は以下のとおり。
・JO25567には152例(併用群:75例、単剤群:77例)が登録され、そのうち生存追跡調査開始時点で52例が死亡し、25例が追跡不能であった(OSの最終解析にはこれらの患者のデータも含まれる)。
・2017年10月31日のデータカットオフ時(追跡期間中央値は34.7ヵ月)におけるOS中央値は、併用群で47.0ヵ月、単剤群で47.4ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.53~1.23、p = 0.3267)。
・OSイベントは併用群40例(53.3%)、単剤群49例(63.6%)で認められた。
・5年生存率は併用群41%、単剤群で35%であった。
・EGFR変異の種類別にみると、exon19delでは併用群53.2ヵ月、単剤群50.3ヵ月(HR :0.79、95%CI:0.44~1.44)、exon21 L858Rでは併用群43.6ヵ月、単剤群42.1ヵ月(HR 0.83、95%CI:0.46~1.49)と有意差はなかった。
・併用群で64例(85.3%)、単剤群で65例(84.4%)が試験後に2次治療を受けた。
なお、本解析のサンプルサイズは、エルロチニブとベバシズマブ併用のOSに対する有効性を評価するには不足しているため、進行中の第III相試験の結果が待たれる。
■参考
ASCO2018 Abstract
JO25567試験
Seto T, et .al Lancet Oncol. 2014;15: 1236-1244.
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(ケアネット 遊佐 なつみ)