閉経後乳がんのアジュバントでは、ビスホスフォネートの補助療法が再発率減少や生存率の改善に寄与するとの報告がある。一方、抗RANKLヒト化モノクローナル抗体のデノスマブの補助療法(60mg、半年ごと年2回皮下注投与)は、アロマターゼ阻害薬治療中の閉経後ホルモン受容体陽性早期乳がん患者で、プラセボと比較した無作為化二重盲検試験ABCSG-18が実施されている。2015年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2015)での初回報告において、デノスマブ群はプラセボ群に比べて臨床骨折を減少させることが明らかになっている(HR:0.5、p<0.0001)。このABCSG-18の副次評価項目である無病生存期間(DFS)を評価した結果を、オーストリア・ウィーン医科大学のMichael Gnant氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。
ABCSG-18試験では、アロマターゼ阻害薬治療中の閉経後ホルモン受容体陽性早期乳がん患者3,420例をデノスマブ群1,711例、プラセボ群17,09例に割り付けている。追跡期間中央値73ヵ月。
60ヵ月時点、96ヵ月時点のDFS 率はプラセボ群がそれぞれ 87.3%(85.7~89.0%)、77.5% (74.8~80.2%) に対し、デノスマブ群がそれぞれ 89.2%(87.6~90.7%)、80.6% (78.1~83.1%) で、プラセボ群よりもデノスマブ群で統計学的に有意な改善を示した(HR:0.823、95%CI:0.69~0.98、p=0.026)。
また、有害事象に関してはほとんどがアロマターゼ阻害薬に起因するもので両群間で発現率に有意差は認められなかった。主たる重篤な有害事象の発現頻度は、筋骨格・関節障害がプラセボ群で7.2%、デノスマブ群で7.8%、半月板損傷がプラセボ群で1.4%、デノスマブ群で1.3%、白内障がプラセボ群で1.7%、デノスマブ群で0.9%、手根管症候群がプラセボ群、デノスマブ群ともに0.8%、甲状腺腫がプラセボ群で0.7%、デノスマブ群で1.2%など。
デノスマブでの発現が多いとされる重篤な有害事象の顎骨壊死は確認されておらず、非定型大腿骨骨折を発症したのが1例のみだった。
■参考
ASCO2018 Abstract
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(ケアネット)