双極性障害における精神医学的入院リスクのための単剤療法の比較 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/07/13 米国・ニューメキシコ大学のAnastasiya Nestsiarovich氏らは、双極性障害患者の精神医学的入院リスクについて、29種類の薬剤を比較した。Bipolar disorders誌オンライン版2018年6月19日号の報告。 Truven Health Analytics MarketScanデータベースを用いて、リチウム、第1世代または第2世代の抗精神病薬、気分安定抗てんかん薬、抗うつ薬の29種類の処方箋情報を有する、双極性障害または統合失調感情障害患者19万894例を抽出した。競合リスク回帰分析を用いて、精神医学的入院リスクの比較を行った(患者の年齢、性別、併存疾患、前処置薬により調整)。他の競合リスクは、単独療法の終了および非精神医学的入院とした。 主な結果は以下のとおり。 ・リチウムよりも精神医学的入院リスクが有意に低かった薬剤は、以下の3剤であった。 ●バルプロ酸(相対リスク[RR]:0.80、p=0.00032) ●アリピプラゾール(RR:0.80、p=0.00035) ●bupropion(RR:0.80、p=0.00028) ・精神医学的入院リスクが有意に高かった薬剤は、以下の8剤であった。 ●ハロペリドール(RR:1.57、p=0.00094) ●クロザピン(RR:1.52、p=0.017) ●fluoxetine(RR:1.17、p=0.0037) ●セルトラリン(RR:1.17、p=0.0032) ●citalopram(RR:1.14、p=0.013) ●デュロキセチン(RR:1.24、p=0.00051) ●ベンラファキシン(RR:1.33、p=0.000001) ●ziprasidone(RR:1.25、p=0.0062) 著者らは「これまでに報告された、双極性障害の薬物療法に関する最大のレトロスペクティブ観察研究では、治療開始2ヵ月以内に患者の大部分が単独療法を終了することが示唆されている。精神医学的入院リスクは、各薬剤間で約2倍の変化が認められた。本データでは、短期間の双極性障害の管理において、リチウムと気分安定薬の使用を支持している。また、ドパミン作動薬であるアリピプラゾールおよびbupropionは、各クラスの他剤よりも良好なアウトカムを示した。抗うつ薬のアウトカムに関しては、ベースライン時の気分の極性により異なる可能性があり、さらなる調査が必要である」としている。 ■関連記事 双極性障害、リチウムは最良の選択か 双極性障害に対するアリピプラゾールの評価~メタ解析 双極性障害、再入院リスクの低い治療はどれか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nestsiarovich A, et al. Bipolar Disord. 2018 Jun 19. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 価値ある研究だが、国による医療事情の違いへの考慮が必要(解説:野間重孝氏)(2025/02/24) 統合失調症に対するアリピプラゾール併用による糖脂質代謝への影響〜メタ解析(2025/02/24) イサツキシマブ、未治療の多発性骨髄腫に適応追加/サノフィ(2025/02/24) フロスの使用に脳梗塞の予防効果?(2025/02/24) 重度の感染症による入院歴は心不全リスクを高める(2025/02/24) 冷水浸漬はある程度の効果をもたらす可能性あり(2025/02/24) アスピリンはPI3K経路に変異のある大腸がんの再発リスクを低下させる/ASCO-GI(2025/02/24) 日本人の食事関連温室効果ガス排出量と死亡リスクにU字型の関連(2025/02/24) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)