血中ビタミンD濃度の低下で近視リスクが増加

提供元:ケアネット

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公開日:2018/08/07

 

 中国・香港中文大学のShu Min Tang氏らは、血中ビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD:25(OH)D)濃度およびビタミンDパスウェイの遺伝子と、近視との関連についてシステマティックレビューとメタ解析を行い、血中25(OH)Dが低濃度の場合は近視のリスク増加と関連することを明らかにした。著者は、近視がビタミンDパスウェイの遺伝子と関連が認められなかったことから、「野外活動の代用としてビタミンDを利用するには遺伝子学上の関連が乏しい」とまとめている。British Journal of Ophthalmology誌オンライン版2018年7月17日号掲載の報告。

 研究グループは、MEDLINEおよびEMBASEを用いて、2018年1月29日までに発表された、近視または屈折異常のリスクに関する血中25(OH)D濃度、血中25(OH)D3濃度もしくはビタミンDパスウェイの遺伝子を評価した横断研究やコホート研究を検索した。近視群と非近視群間の血中25(OH)D濃度の標準化平均差(SMD)を算出し、要約オッズ比を用いて血中25(OH)D濃度とビタミンDパスウェイの遺伝子の遺伝子多型との関連を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・メタ解析において、計7件(2万5,008例)の研究を要約した。
・近視群は、非近視群より血中25(OH)D濃度が低かった(SMD:-0.27nmol/L、p=0.001)。
・すべての解析において、日光に当たったり屋外で過ごしたりした時間で調整後、近視リスクと血中25(OH)D濃度は反比例の関係を示した(10nmol/L当たりの補正後オッズ比[AOR]:0.92、p<0.0001)。
・しかし、その関係は18歳未満では統計学的に有意ではなかった(同:0.91、p=0.13)。
・また、その関係は血中25(OH)D3濃度(主に日光に当たって生成される)においてのみ有意であり(同:0.93、p=0.00007)、血中総25(OH)D濃度において有意差はなかった(同:0.91、p=0.15)。
・2つの研究から、ビタミンD受容体(VDR)遺伝子において4つの一塩基多型(SNPs)を解析したが、近視との有意な関連はなかった。

(ケアネット)