アトピー性皮膚炎(AD)は不安やうつ病と関連しているが、その重要性については知られていない。デンマーク・Herlev and Gentofte HospitalのAmalie Thorsti Moller Ronnstad氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析から、AD患者の治療の際は、医師がうつ病、不安および自殺念慮について考慮しなければならないことを示した。著者は、「ADの改善にはこれらのリスク軽減が明白であることから、これを優先すべきである」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2018年9月号掲載の報告。
研究グループは、小児および成人におけるADと、うつ病、不安および自殺念慮との関連について、PubMed、EmbaseおよびPsycINFOのデータベースを用いて論文を検索し、システマティックレビューとメタ解析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・成人のADは、うつ病(統合オッズ比[OR]:2.19、95%信頼区間[CI]:1.87~2.57)、および不安(同:2.19、95%CI:1.75~2.73)と有意に関連していた。
・小児においてもADはうつ病(同:1.27、95%CI:1.12~1.45)と関連していたが、不安に関しては解析に利用できるデータがほとんどなかった。
・成人および青少年において、ADは自殺念慮と顕著な関連があることが認められた(同:4.32、95%CI:1.93~9.66)。
・自殺既遂のリスクを調査した研究は少数であったが、多くは自殺既遂とADとの間に明らかな関連があることを示していた。
・ただし、本研究にはうつ病と不安について異なる定義の研究が組み込まれており、また、ADの重症度を調べた研究はほとんどなかった。
(ケアネット)