自治医科大学の苅尾 七臣氏らによるJ-HOP研究において、80歳以上の日本人の家庭血圧と心血管イベントとの関連を検討したところ、早朝家庭血圧が心血管イベント、とくに脳卒中で正の線形関連を示した。この関連は診察室血圧または就寝前家庭血圧では観察されなかった。American Journal of Hypertension誌オンライン版2018年9月5日号に掲載。
本研究は、心血管疾患の既往とリスク因子のどちらか、もしくは両方を有する4,310人を対象とした「日本人における家庭血圧の心血管予後推定能に関する研究」(Japan Morning Surge-Home Blood Pressure Study:J-HOP研究)から、80歳以上の349例の患者を分析したもの。ベースライン時に連続14日間にわたり、1日2回(朝夕)家庭血圧測定を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値3年の間に、複合心血管イベントが32件(脳卒中13件、脳卒中以外のイベント19件)発生した。
・4年の心血管リスクスコアおよび診察室収縮期血圧(SBP)による調整後、高い早朝収縮期血圧(SBP)は、複合心血管イベント(10mmHg当たりハザード比[HR]:1.23、95%信頼区間[CI]:1.01~1.50)および脳卒中(10mmHg当たりHR:1.47、95%CI:1.08~2.00)の有意なリスク因子であった。
・調整後モデルでは、早朝拡張期血圧も脳卒中の有意なリスク因子である傾向がみられた(5mmHg当たりHR:1.43、95%CI:1.00~2.05)。
・これらの関連は、就寝前血圧や診察室血圧ではみられなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)