受刑者の皮膚病治療に遠隔診療が有用

一般集団と比較して受刑者の皮膚疾患の有病率は高いという。その受刑者の皮膚病変の診断と治療にあたっては、皮膚に対する専門的なアドバイスが必要である。刑務所内の8つの医療施設と2つの皮膚科専門病院の皮膚科医が受刑者のために遠隔診療を行ったところ、治療計画を完了した患者割合が向上した。このシステムを用いて遠隔診療を行ったフランス・URC Eco Ile-de-FranceのKevin Zarca氏らによると「移動のコストや予約のキャンセルの割合を考慮すると、対面診療と比較し優れた介入であり、医師が受け入れ可能な診療である」ということが示された。PLOS ONE誌オンライン版2018年9月24日号掲載の報告。
研究グループは、受刑者のための皮膚科遠隔診療の有効性と費用を評価する目的で、遠隔診療ネットワークの情報システムにより収集されたデータを用いて、後ろ向きコホート研究を行った。遠隔医療評価(MAST:Model for ASsessment of Telemedicine)モデルを用いて解析し、皮膚病変の治療計画が完了した患者の割合、技術的な問題の割合、画像の質、投資と運営経費、および専門家の満足度などについて多元的に評価した。
主な結果は以下のとおり。
・450例(平均年齢34.2歳、男性90%)に対して511件のリクエストがあった。
・遠隔診療ソフトを立ち上げてリクエストを検証するのに要した時間は、リクエスト全体の50%で7分未満、85%では30分未満であった。
・遠隔診療を用いた場合、82%の患者が治療計画を完了し、2.9%はのちに対面診療または入院を必要とした。これと比較し、遠隔診療を利用しなかった場合、治療計画を完了した患者割合は35%であった。
・最も多くみられた皮膚病変は、ざ瘡(22%)とアトピー性皮膚炎(18%)であった。
・1件の治療計画が完了するのにかかった平均費用は、遠隔診療で184ユーロ、遠隔診療なしの場合は315ユーロであった。
・遠隔診療は、対応したすべての医師(9人)に良好に受け入れられ、引き続き遠隔診療を行う意志が示された。
(ケアネット)
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