ゲムシタビン+シスプラチン(GC)は、長年にわたり凌駕されることのない、進行胆道がん1次治療の標準治療である。しかし、ASCO-GI2018で発表された、わが国の第II相試験では、ゲムシタビン+S-1のGCに対する非劣性が示された。ミュンヘンでの欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)では、GC+S-1(GCS)とGCを比較した第III相KHBO1082-MITSUBA試験の結果が大阪大学の坂井大介氏により発表された。
KHBO1401-MITSUBA試験は、GCSのGCに対する優越性を検証する多施設オープンラベル比較試験。
・対象:未治療の切除不能進行胆道がん
・試験群:GSC(ゲムシタビン1,000mg/m2+シスプラチン25mg/m2[day1]+S-1 40~60mg BID[day1~7]、2週ごと)
・対象群:GC(ゲムシタビン1,000mg/m2+シスプラチン25mg/m2[day1、8]、3週ごと)
・評価項目:[主要項目]全生存率(OS)[副次項目]無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、安全性
治療は24週継続(進行あるいは忍容できない毒性が発現しない限り)。GCSの推定1年生存率を55%、GCの推定1年OS率を43%と設定。サンプルサイズは240例となった。
主な結果は以下のとおり。
・2014年7月~2016年2月に246例が登録され、無作為化にGCS群に123例、GC群に123例に割り付けられた。
・追跡期間中央値は13.2ヵ月。
・OS中央値は、GCS群13.5ヵ月、GC群12.6ヵ月と、GCS群で有意に良好であった(HR:0.791、90%CI:0.623~0.996、片側p=0.046)。
・1年OS率はGCS群59.4%、GC群53.7%と、主要評価項目を達成した。
・PFS中央値は、GCS群7.4ヵ月、GC群5.5ヵ月、とGCS群で有意に良好であった(HR:0.748、95%CI:0.577~0.970、p=0.015)。
・ORRはGCS群41.5%、GC群15%(p<0.001)、病勢コントロール率はGCS群79.8%、GC群62.0%であった(p=0.0066)。
・有害事象は、全GradeでGCS群77%、GC群80%、Grade3/4はGCS群39%、GC群48%であった。
GCSはGCに対しOSで有意に優れており、進行胆道がん1次治療の新たな標準治療としての可能性がある、としている。
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(ケアネット 細田 雅之)