男性医師と女性医師によるコリンエステラーゼ阻害薬の処方実態比較 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/11/15 男性医師と女性医師では、患者をケアする方法にわずかではあるが重大な違いがあるといわれており、女性医師は、ベストプラクティスの推奨事項を遵守する傾向が強いとするエビデンスもある。カナダ・トロント大学のPaula A. Rochon氏らは、認知症のマネジメントにおいて推奨用量より低用量でのコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)による薬物療法を開始することで、男性医師と女性医師で処方実態に違いがあるかを検討した。PLOS ONE誌2018年10月22日号の報告。 対象は、カナダ・オンタリオ州に在住し、2010年4月~2016年6月に経口ChEI(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)を新規に投与された66歳以上の認知症高齢者。医師の性別と推奨用量より低用量でのChEI治療開始との関連は、患者および医師の特徴で調整し、一般化線形混合回帰モデルを用いて分析した。データは、専門分野別に層別化を行った。副次的分析では、医師の性別と心臓スクリーニング、初期処方の期間短縮との関連性を分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・分析対象は、男性医師5,811人、女性医師3,443人で、大多数はかかりつけ医であった(83%)。 ・女性医師は推奨用量よりも低用量でChEI治療を開始する傾向が強かった(調整オッズ比:1.43、95%CI:1.17~1.74)。 ・女性医師は男性医師と比較し、ChEI治療開始時の心臓スクリーニング(55.1% vs.49.2%、p<0.001)や初期処方の期間短縮(41.8% vs.35.5%、p<0.001)などの保守的な処方を実施する傾向が強かった。 著者らは「男性医師と女性医師では、ChEIの処方パターンにおいて統計学的に有意な差が認められ、女性医師の処方パターンは、より注意深く保守的である可能性が示唆された。今結果は、将来、推奨用量より低用量で治療を受けている患者において、良い結果が得られているかを判断するために役立つであろう」としている。 ■関連記事 抗認知症薬処方前の甲状腺機能検査に関するレトロスペクティブ観察研究 アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の安全性、専門家による評価 なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか コリンエステラーゼ阻害薬の副作用、全世界の報告を分析 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Rochon PA, et al. PLoS One. 2018;13:e0205524. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 急性脳梗塞、再灌流後のtenecteplase動注は有益か/JAMA(2025/01/23) 妊娠糖尿病、メトホルミン±SU薬vs.インスリン/JAMA(2025/01/23) 透析中の骨粗鬆症患者へのデノスマブは心血管イベントリスクを上げる可能性/京都大(2025/01/23) MASLD患者の転帰、発症リスクに性差(2025/01/23) 25種類の治療抵抗性うつ病治療の有効性比較〜ネットワークメタ解析(2025/01/23) タバコを1本吸うごとに寿命が22分縮む?(2025/01/23) 米アルツハイマー病協会が新たな診療ガイドラインを作成(2025/01/23) [ あわせて読みたい ] 【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(5)(2019/01/08) 【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(4)(2018/08/15) 今、注目のエビデンス(2018/07/02) 第4回 特別編 覚えておきたい熱中症の基本事項【救急診療の基礎知識】(2018/07/25) 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.2(2018/04/07) 長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3(2017/06/07) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【神経内科編】(2016/12/07) 総合内科専門医試験対策 “苦手”科目をクイック復習 2016 (2016/07/29) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.4(2016/06/07) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.3(2016/05/31)