PRP療法、顔の若返りに効果なし

提供元:ケアネット

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公開日:2018/12/05

 

 顔の若返りに対する多血小板血漿(PRP)療法の有益性を確認した実験的な証拠はほとんどなく無作為化試験は行われていない。米国・ノースウェスタン大学のMurad Alam氏らは、光によって皮膚障害を受けた顔の皮膚のきめや血色などの外観が、PRP療法によって改善するかどうかを調査した。その結果、盲検下での患者評価ではPRP注入部位は滅菌生理食塩水の注入部位と比較して肌のきめやしわが有意に改善したものの、医師評価によるphotoaging scoresには有意差が認められなかったことが明らかになった。著者は、「参加者も評価者も、PRP療法が優れているというのは名ばかりであることがわかった」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年11月7日号掲載の報告。

PRP療法群は皮膚科専門医による評価で有意差はなかった

 研究グループは、2012年8月21日~2016年2月16日の期間に、シカゴにある大学病院の皮膚科専門外来において被験者と評価者を盲検下でグループ分けし、無作為化試験を実施した。対象者は、Glogauの分類でII以上のしわが両頬にある18~70歳の成人で、片方の頬にPRP、もう一方の頬に対照薬として滅菌生理食塩水を、それぞれ3mLずつ皮内注射した。

 主要評価項目は、photoaging scores(サブスコア:小じわ、斑状色素沈着、肌荒れ、皮膚の血色)で、2人の皮膚科医師が盲検下で評価した。副次評価項目は、被験者の自己評価で、5段階評価の改善度(悪化、不変、軽度改善、中等度改善、有意に改善)、4段階評価の満足度(不満、少し満足、やや満足、とても満足)、被験者と評価者によって報告された有害事象であった。

 PRP療法の効果を調査した主な結果は以下のとおり。

・27例が登録され、解析対象は19例であった(平均年齢[±SD]:46.37±10.88歳、女性17例)。

・有害事象として、発赤(18例)、腫脹(16例)、傷痕(14例)、そう痒(1例)、皮膚落屑(1例)、皮膚乾燥(1例)が報告されたが、治療との関連は否定された。12ヵ月時に報告された有害事象はなかった。

・2人の皮膚科専門医によって盲検下で評価されたphotoaging scoresは、PRP療法群と対照群で有意差はなかった。また、ベースライン、2週間後、3ヵ月後および6ヵ月後のphotoaging scores(PRP vs.対照、平均[±SD])は以下のとおり。
- 小じわ
1.00±0.75 vs.1.05±0.78、0.95±0.71 vs.0.95±0.71、0.95±0.71 vs.0.95±0.71、0.95±0.71 vs.0.95±0.71
- 斑状色素沈着
1.21±0.53 vs.1.21±0.54、1.16±0.60 vs.1.16±0.60、1.00±0.47 vs.1.11±0.46、1.16±0.69 vs.1.16±0.69
- 肌荒れ
0.47±0.61 vs.0.47±0.61、0.47±0.61 vs.0.47±0.61、0.47±0.61 vs.0.47±0.61、0.37±0.60 vs.0.37±0.68
- 皮膚の血色
1.11±0.88 vs.1.11±0.88、0.95±0.85 vs.0.95±0.85、0.58±0.61 vs.0.58±0.61、0.37±0.68 vs.0.37±0.68

・単回投与後6ヵ月時点では、被験者の自己評価においてPRPで治療した頬は対照と比較し有意に改善した。自己評価スコア(平均[±SD])は、肌のきめが2.00±1.20 vs.1.21±0.54(p=0.02)、しわが1.74±0.99 vs.1.21±0.54(p=0.03)であった。

(ケアネット)