アストラゼネカとそのグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンは、2018年12月13日、スイスのジュネーブで開催された2018年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)がん免疫療法会議において第III相MYSTIC試験の全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)に関するデータを発表した。
MYSTIC試験は、未治療のステージIV非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としてデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)単剤またはデュルバルマブと抗CTLA-4抗体tremelimumabの併用療法を、プラチナベースの標準化学療法(SoC)と比較検討した多施設共同無作為化非盲検国際第III相試験。主要評価項目は、PD-L1発現25%以上の患者における、デュルバルマブ単独療法のOS、デュルバルマブ・tremelimumab併用療法のPFSおよびOS(いずれもSoCとの比較)。
結果、デュルバルマブ単剤群のOSは、SoC群12.9ヵ月に対し16.3ヵ月、2年OS率は、SoC群22.7%に対しデュルバルマブ単剤群38.3%と、主要解析集団(PD-L1発現25%以上)で上回ったが、統計学的有意差には到達しなかった(HR:0.76、97.54%CI:0.564~1.019、p=0.036)。
デュルバルマブ・tremelimumab併用群のOSは、SoC群12.9ヵ月に対し11.9ヵ月、2年OS率は、同22.7%に対し35.4%であった(HR:0.85、98.77%CI:0.611~1.173)。併用群のPFS中央値は、SoC群5.4ヵ月に対し3.9ヵ月、1年PFS率はSoC群25.8%に対し14.3%であった(HR:1.05、99.5%CI:0.722~1.534)。デュルバルマブ・tremelimumabの併用療法はPFSおよびOSともに未達成であった。なお、標準化学療法群のうち39.5%は、化学療法後に免疫療法を受けていた。
また、あらかじめ規定された探索的解析では、腫瘍遺伝子変異量(bTMB)による生存を調査している。メガベースあたり16以上の変異と定義されたbTMB高値におけるデュルバルマブ・tremelimumab併用群のOS HRは標準化学療法群との比較で0.62(95%CI:0.451~0.855)、デュルバルマブ単剤群のOS HRは0.80(0.588~1.077)であった。
MYSTIC試験のデュルバルマブおよびデュルバルマブ・tremelimumab併用療法の安全性ならびに忍容性プロファイルは過去の試験と一貫していた。Grade3/4の有害事象はデュルバルマブ単剤群40.4%、デュルバルマブ・tremelimumab併用群47.7%、化学療法群46.0%であった。治療関連有害事象による治療中止はデュルバルマブ単剤群5.4%、デュルバルマブ・tremelimumab併用群13.2%、化学療法群の9.4%であった。
(ケアネット)