冷え性の女性は、腰痛に4.91倍、難聴に4.84倍なりやすいことが、福島県立医科大学の坪井 聡氏らによる研究で明らかになった。冷え性の女性はさまざまな症状を抱え、健康リスクを伴う行動をとっていることがある。対症療法では改善が不十分な場合があり、総合的なケアが必要であるという。International journal of women's health誌2019年1月11日号の報告。
西洋医学においては、東アジアの伝統医学と異なり、冷え性に対する医療サービスの必要性は、まだ認識されていない。
そのため、2016年2月~2017年4月にかけて日本人女性238人を対象に手足の冷えとその他の主観的症状について疫学的評価を行い、それらの関連性について調査した。人口統計、健康関連の行動、健康状態、過去1年間の自覚症状の頻度をアンケート調査した。手足の冷えとその他の主観的症状との関連性は、多重ロジスティック回帰分析を用いて検証した。
主な結果は以下のとおり。
・冷え性の有病率は、軽度が49.6%、重度が35.3%であった。
・気温と医療サービスの利用は、冷え性の重症度によって有意差はなかった。
・冷え性と有意に関連した症状は、肩こり、疲労、腰痛、頭痛、鼻づまり、かゆみ、けが、難聴であった。
・多重ロジスティック回帰分析の結果、冷え性の人は、腰痛に4.91倍、難聴に4.84倍なりやすかった。
・要因としては、精神的な生活の質、睡眠の質、習慣的な飲酒が、その他の主観的症状と有意に関連していた。
(ケアネット 武田 真貴子)