高齢者うつ病発症率の潮流、10年間で減少 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/02/21 うつ病の発症率における出生コホート差やそれらの説明要因に関する研究は、うつ病の病因を明らかにする可能性があり、世界的なうつ病負担を軽減するための予防戦略を最適化する一助となる。オランダ・アムステルダム自由大学のH. W. Jeuring氏らは、高齢者におけるうつ病の発症率について調査を行った。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌オンライン版2019年1月26日号の報告。 オランダの地域高齢者を対象とした代表的な研究である、アムステルダム縦断高齢研究(Longitudinal Aging Study Amsterdam)のデータを用いて調査を行った。10年間のうつ病(CES-Dうつ病自己評価尺度16点以上)発症率のコホート差は、コホートシーケンシャル縦断デザインを用いて、55~64歳の非うつ病(10歳違いでの生まれ)の2つの同様なコホートとの比較で行った。ベースライン測定は、1992~93年(初期コホート、794例)および2002~03年(直近コホート、771例)で実施した。うつ病の動学的一般均衡モデルで示されるように、潜在的な説明要因は、リスクと保護要因で区分した。 主な結果は以下のとおり。 ・100人年当たりのうつ病発症率は、初期コホートで1.91(95%CI:1.59~2.27)、直近コホートで1.60(95%CI:1.31~1.94)であった。 ・直近コホートにおいて、初期コホートと比較し、慢性疾患や機能制限などのリスク因子の平均レベルが上昇したとしても、うつ病発症リスクは29%低下した(HRcohort:0.71、95%CI:0.54~0.92、p=0.011)。 ・このリスク低下は、主に教育レベル、熟達レベルの上昇、労働参加の増加により説明できた。 著者らは「これらの知見は、うつ病発症に対する予防因子の進歩が、リスク因子の悪影響を相殺し、若年成人におけるうつ病発症率の減少をもたらすことを示唆している。しかし、身体の健康状態を良好に保つことは、うつ病発症率をさらに低下させるうえで、優先しなければならない」としている。 ■関連記事 日本人高齢者のうつ病に関連する社会的要因~AGESプロジェクト たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能 うつ病になりやすい性格 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Jeuring HW, et al. Epidemiol Psychiatr Sci. 2019 Jan 26. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 高齢者のうつ病治療ガイドラインのポイント~日本うつ病学会 医療一般 日本発エビデンス(2022/04/13) うつ病リスクは旅行をしないと高くなる?高齢者の旅行とうつ病との関係 医療一般(2022/08/25) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09)