皮膚科のレーザー治療法では、技術の進展により種々のレーザー法が登場し、ナノ(1/10億)秒パルスのQスイッチレーザーに次いで、パルス幅の短いピコ(1/1兆)秒レーザーが臨床で用いられつつある。また、ピコ秒アレキサンドライトレーザー(PSAL)はさまざまな色素異常症に利用されているが、太田母斑についてQスイッチアレキサンドライトレーザー(QSAL)との直接比較データは限られている。中国・Peking Union Medical College(PUMC)& Chinese Academy of Medical Sciences(CAMS)のYiping Ge氏らは、無作為化試験を行い、PSALのほうが、臨床的アウトカムが良好で有害事象も少ないことを実証した。ただし、著者らは「客観的な評価およびアウトカムが不足している点で、結果は限定的」としている。Journal of American Academy of Dermatology誌オンライン版2019年3月15日号掲載の報告。
研究グループは、太田母斑の治療における、PSALとQSALの有効性と安全性について比較。試験登録された56例の病変部位を2つに分けて、それぞれPSAL群とQSAL群に無作為に割り付け、各病変に対し12週間ごとに最大6セッションの治療を行った。有効性と安全性は、フォローアップ時の視覚評価と自己報告に基づき判定した。
主な結果は以下のとおり。
・PSAL群のほうが、クリアランスが有意に良好(4.53 vs.4.0)、治療セッションが少ない(5.26 vs.5.87)、重篤な痛みを伴わなかった(5.61 vs.6.40)。
・患者の満足度は、PSAL群がQSAL群よりも高かった(4.5 vs.4.0)。
・処置後の色素沈着症(26% vs.34%)やメラニン減少症(21% vs.47%)の発生率も、PSAL群がQSAL群よりも低率であった。
(ケアネット)