小児双極性障害に関連する研究は、過去7年間で増加している。米国・ザッカーヒルサイド病院のAnna Van. Meter氏らは、2011年の小児双極性障害の有病率についてのメタ解析をアップデートし、有病率に影響を及ぼす因子について検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年4月2日号の報告。
2018年、PubMedおよびPsycINFOより、英語で出版された論文を用いて文献レビューを行った。選定基準は、青少年の疫学サンプル、双極性スペクトラム障害を有する青少年の数、21歳以上と分類された青少年の有病率(両方を含む場合)とした。検索された2,400件中44件を評価し、8件を解析対象とした。各双極性障害サブタイプの有病率は、報告に沿って記録し、仮説モデレーター(研究の特徴や環境要因など)もコーディングした。
主な結果は以下のとおり。
・8件の追加試験より、合計サンプル数19件が得られ、サンプルサイズは、5万6,103例(双極性障害患者1,383例)で3倍となった。
・米国での研究が7件、南アメリカ、中央アメリカ、ヨーロッパでの研究が12件であった。
・双極性スペクトラム障害の加重有病率は、3.9%(95%CI:2.6~5.8%)であった。
・研究間での有意な不均一性が認められた(Q=759.82、df=32、p<0.0005)。
・双極I型障害のプール率は0.6%(95%CI:0.3~1.2%)であり、これらにおいても不均一性が認められた(Q=154.27、df=13、p<0.0001)。
・双極性スペクトラム障害有病率の高さの予測因子は、広義の双極性障害基準の使用(p<0.0001)、最少年齢(p=0.005)、生涯有病率(p=0.002)であった。
・より新しい研究において、有病率の低さとの関連が認められた(p<0.0001)。
著者らは「最新のメタ解析では、米国の双極性スペクトラム障害有病率は、他の西欧諸国と比較し高くはなく、経時的な増加も認められないことが確認された。標準的でない診断基準は、全スペクトラムを除外した小児双極性障害の狭義の定義に焦点を当てた場合と同様に、さまざまな有病率を示すことにつながる。小児双極性障害の有病率に関する問題を解決するためには、検証済みの基準を一貫して適用することが求められる。非西欧諸国での研究は、国際的な有病率と危険因子を理解するうえで必要である」としている。
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(鷹野 敦夫)