新生児アトピー予防戦略、ビタミンD補給よりも紫外線曝露

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2019/05/22

 

 ビタミンDとアトピー性疾患の関連はさまざまに取り上げられている。オーストラリア・西オーストラリア大学のKristina Rueter氏らは、新生児におけるビタミンD補給による湿疹および免疫能への効果を明らかにするため、二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施。その結果、ビタミンD補給と湿疹罹患率との間に有意な関連はみられなかった。一方で、一部の対象児について行った紫外線曝露量との関連評価(非無作為の探索的解析)から、その曝露量が多い児では湿疹罹患率が低く、炎症誘発性免疫マーカー値が低値であったことを報告した。著者は今回の検討は紫外線量と湿疹罹患率などの関連を初めて明らかにしたものだとしたうえで、「生まれて間もない時期のアレルギー予防策として、紫外線曝露がビタミンD補給よりも有益と思われることを示すものである」とまとめている。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌2019年3月号掲載の報告。

 試験は西オーストラリア州の州都パース(南緯32度[日本では鹿児島県が北緯32度])で、第一度近親者(両親・兄弟)がアトピー性疾患を有し、37週以降に生まれた生後28日未満の児を集めて行われた。

 被験児は、ビタミンD(介入)群(400IU/日)またはプラセボ(ココナッツおよびパーム核油)群に無作為に割り付けられ、生後6ヵ月まで投与が行われた。

 また、非無作為に選択した一部の被験児にパーソナルUV線量計を割り当て、生後3ヵ月までの紫外線(290~380nm)曝露量を測定した。

 ビタミンDレベルを生後3ヵ月と6ヵ月時点で、湿疹および喘息ならびに免疫機能については6ヵ月時点で評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・2012年10月9日~2017年1月23日の期間に計195例(介入群97例、プラセボ群98例)が参加し、そのうち紫外線曝露量の測定は86例に行われた。
・ビタミンD値は、介入群がプラセボ群よりも、生後3ヵ月(p<0.01)、6ヵ月時点(p=0.02)いずれにおいても有意に高値だった。
・いずれの評価時点においても、湿疹罹患率に差は認められなかった(3ヵ月:介入群10.0% vs.プラセボ群6.7%、6ヵ月:21.8% vs.19.3%)。
・紫外線曝露量が測定された被験児において、湿疹を呈した児は呈さなかった児よりも、紫外線曝露量が有意に少量であった(中央値555J/m2[四分位範囲:322~1,210]vs.998J/m2[676~1,577]、p=0.02)。
・また、TLRリガンドを介したサイトカイン(IL-2、GM-CSF、eotaxin)産生と紫外線曝露量に逆相関の関連が認められた。

(ケアネット)