リチウムまたはラモトリギンで臨床的に安定している成人双極性障害(BD)患者に対し、これらの薬剤を投与し続けるべきかについては、十分に確立されていない。藤田医科大学の大矢 一登氏らは、臨床的に安定している成人BD患者へのリチウムおよびラモトリギン維持療法の有効性と安全性について評価するため、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年4月26日号の報告。
本メタ解析には、リチウムまたはラモトリギンに対し急性反応を示した患者を選択した強化デザイン(enrichment design)による、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のみを含めた。PubMed、Cochrane Library、Embaseより、2018年11月15日までの研究を検索した。主要アウトカムは、試験終了時点での気分エピソードの再発率とした。その他のアウトカムは、試験終了時の躁病/軽躁病/混合エピソードまたはうつ病による再発率、試験中止率、死亡、自殺による死亡とした。リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。変量効果モデルにより有意な群間差が認められた際、治療必要数(NNT)を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・リチウムに関する研究2件(218例)、ラモトリギンに関する研究4件(706例)が抽出された。
・あらゆる気分エピソードによる再発率の減少について、リチウム(RR:0.52、95%CI:0.41~0.66、p<0.00001、I2:0%、NNT:2.3[1.6~4.2])およびラモトリギン(RR:0.81、95%CI:0.70~0.93、p=0.004、I2:0%、NNT:8.3[5.0~25.0])は、プラセボよりも優れていた。また、全原因による試験中止についても、両剤ともにプラセボよりも優れていた。
・他のアウトカムについては、プラセボとの間に有意な差は認められなかった。
著者らは「臨床的に安定している成人BD患者に対するリチウムおよびラモトリギン維持療法は、再発防止に有用であることが示唆された。しかしながら、本分析における試験数および患者数は少数であった」としている。
(鷹野 敦夫)