抗てんかん薬、皮膚がんリスクと関連? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/06/19 抗てんかん薬と皮膚がんリスクとの関連を検討した、デンマーク・南デンマーク大学のKasper Bruun Kristensen氏らの報告によると、大半の抗てんかん薬では、皮膚がんとの関連は認められなかったが、カルバマゼピンとラモトリギンで有棘細胞がん(SCC)との関連が認められたという。抗てんかん薬には光感作性のものがあるが、これまで、それらが皮膚がんリスクを増大するかは不明であった。なお、本検討では皮膚がんの重要なリスク因子に関するデータ(日光曝露など)が入手できず、結果は限定的であった。著者は、「所見が再現性のあるものか、また、さらにほかの設定で特性付けられるかを調べる必要があり、直接的な臨床的意味のあるものではない」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2019年5月28日号掲載の報告。 研究グループは、一般的な抗てんかん薬と基底細胞がん(BCC)、SCC、および悪性黒色腫(MM)との関連を調べる目的で、デンマークにおいて、2004~15年に皮膚がんと診断された患者と非疾患対照群を1対10に割り付けたコホート内症例対照研究を行った。 皮膚がん発症について、抗てんかん薬累積使用が多い群(1日量500以上と定義)と非使用群を比較し、オッズ比(OR)で評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・大半の抗てんかん薬は、皮膚がんと関連していなかった。 ・SCCとの関連は、カルバマゼピン使用(OR:1.88、95%信頼区間[CI]:1.42~2.49)、およびラモトリギン使用(OR:1.57、95%CI:1.12~2.22)で認められた。カルバマゼピンについては、用量依存のエビデンスが認められた。 ・ただし、推定される絶対リスクは低く、たとえばSCCを1人が発症するには、カルバマゼピンで6,335人年の高累積曝露が必要であった。 (ケアネット) 原著論文はこちら Kristensen KB, et al. J Am Acad Dermatol. 2019 May 28. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 出産前後の日本人女性に対する抗てんかん薬処方~健康管理データベースからの検討 医療一般 日本発エビデンス(2019/04/30) 抗てんかん薬によるスティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症~FDAデータの分析 医療一般(2019/01/16) 8種類の抗てんかん薬における主要な先天性奇形リスク比較のコホート研究 医療一般(2018/05/21) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 子宮移植、成功率は70%で全例生児出産/JAMA(2024/08/30) ドナー心臓の低温酸素化灌流で心臓移植は改善するか/Lancet(2024/08/30) ニルマトレルビル・リトナビルの曝露後予防効果が示唆された―統計学的問題について(解説:谷 明博氏)(2024/08/30) アレクチニブ、ALK陽性非小細胞肺がんの術後補助療法に承認/中外(2024/08/30) 高身長とがんリスク~東アジア人での関連(2024/08/30) アートやクラフトの制作は心の健康に良い影響を与える(2024/08/30) 新クラスの抗菌薬、「人喰いバクテリア」にも有効か(2024/08/30) 限界に近いトレーニングは筋肥大に有効?(2024/08/30) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) Dr. 倉原の“おどろき”医学論文(2013/08/21) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 抗がん剤皮膚障害セミナー(2)マルチキナーゼ阻害薬I最新情報(2013/09/27)