ソラフェニブは現在、転移を有する肝細胞がんの標準治療であるものの、ソラフェニブに不耐症例のための新たな薬剤が必要とされている。また、αフェトプロテイン(AFP)が上昇した進行期肝細胞がんは予後不良である。マウントサイナイ医科大学のJosep M.Llovet氏らは、ソラフェニブ治療後の進行期肝細胞がん患者の2次治療としてラムシルマブを投与した第III相臨床試験であるREACHとREACH-2のプール解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で報告。AFP400ng/mL以上の進行期肝細胞がんでのラムシルマブの忍容性は高く、有害事象による治療中断は低率であった。
REACHとREACH-2はともにPS 0~1のChild-Pugh分類Aでソラフェニブによる治療後に病勢進行か不耐となった進行肝細胞がん患者が対象の無作為化二重盲検第III相試験。このうちREACH-2に関してはAFPが400ng/mL以上と限定した。いずれも登録患者をラムシルマブ8mg/kg 2週ごと+支持療法群(ラムシルマブ群)、プラセボ8mg/kg 2週ごと+支持療法群(プラセボ群)の2群に無作為に割り付けて比較した。
登録患者数はREACHが565例(ラムシルマブ群283例、プラセボ群282例)、REACH-2が292例(ラムシルマブ群197例、プラセボ群95例)。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、無増悪期間(TTP)、安全性などであった。
今回の検討ではREACH登録患者でAFPが400ng/mL以上だった患者とREACH-2の患者をプール解析した。解析ではソラフェニブ不耐集団(不耐集団)とソラフェニブでの病勢進行集団(病勢進行集団)に分け、ラムシルマブ群とプラセボ群の2群間で比較検討した。
OS中央値は不耐集団ではラムシルマブ群が10.2ヵ月、プラセボ群が6.7ヵ月でHR0.59(95%CI:0.34~1.02)、病勢進行集団ではそれぞれ8.0ヵ月、4.7ヵ月でHR 0.71(95%CI:0.58~0.88)。PFS中央値は不耐集団ではそれぞれ4.4ヵ月、1.4ヵ月でHR0.32(95%CI:0.19~0.55)、病勢進行集団ではそれぞれ2.7ヵ月、1.6ヵ月でHR 0.64(95%CI:0.52~0.79)だった。ORRは不耐集団ではそれぞれ12%、0%、病勢進行集団ではそれぞれ4%、1%。病勢コントロール率(DCR)は不耐集団でそれぞれ79%、21%、病勢進行集団でそれぞれ53%、39%。有害事象を原因とする減量・投与中止は不耐集団でそれぞれ12%、0%、病勢進行集団でそれぞれ9%、4%となっていた。
(ケアネット)