日本人進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、カルボプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブ後の維持療法として、ベバシズマブとベバシズマブ・ペメトレキセド併用を比較した第III相COMPASS試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、九州がんセンターの瀬戸 貴司氏が発表した。
・対象:化学療法歴のない、Stage IIIB~IV、EGFR野生型または不明の非扁平上皮NSCLC患者(被験者は、カルボプラチン・ペメトレキセド・ベバシズマブ併用3週ごと4サイクルの導入療法実施後、維持療法として、ベバシズマブ群とベバシズマブ・ペメトレキセド併用群に無作為に割り付けられた)
・試験群:(維持療法)ベバシズマブ+ペメトレキセド3週ごとPDまで(Bev+Pem群)
・対照群:(維持療法)ベバシズマブ3週ごとPDまで(Bev群)
・評価項目:[主要評価項目]無作為化後の全生存期間(OS)
[副次評価項目]無作為化後の無増悪生存期間(PFS)、1次登録(導入療法開始前)時からのOSとPFS、安全性
1次登録での主な結果は以下のとおり。
・2010年9月~2015年9月に、71施設から907例が1次登録され、導入療法が実施された。1次登録からの追跡期間中央値は63.3ヵ月。
・1次登録におけるPFS中央値は7.1ヵ月、OS中央値は21.1ヵ月であった。
無作為化後の主な結果は以下のとおり。
・導入療法後、599例がBev群とBev+Pem群に無作為に割り付けられ、うち維持療法評価に登録された患者は594例(Bev群295例、Bev+Pem群299例)であった。無作為化後の追跡期間中央値は59.9ヵ月。
・無作為化後のOS中央値は、Bev群19.6ヵ月に対しBev+Pem群23.3ヵ月であった(HR:0.87、95%CI:0.73~1.05、p=0.069)。
・無作為化後のPFS中央値は、Bev群4.0ヵ月に対しBev+Pem群5.7ヵ月と、Bev+Pem群で有意に改善した(HR:0.67、95%CI:0.57~0.79、p<0.001)。
・無作為化後のOSについてサブグループ解析の結果、70歳未満(Bev群19.7ヵ月対Bev+Pem群23.7ヵ月、HR:0.79、95%CI:0.64~0.98、p=0.03)ならびにEGFR野生型(Bev群18.8ヵ月対Bev+Pem群23.3ヵ月、HR:0.82、95%CI:0.68~0.99、p=0.041)において、Bev+Pem群でより改善した。
・維持療法におけるGrade3以上の有害事象のうち、Bev+Pem群で多くみられたのは好中球数減少(1.0%対14.0%)、白血球数減少(0.0%対5.4%)であった。高血圧については、Bev群16.6%、Bev+Pem群11.7%であった。新たな有害事象のプロファイルはみられなかった。
Bev+Pemによる維持療法は、Bev単剤に比べPFSを延長し、また、70歳未満およびEGFR野生型患者においてはOSを有意に改善した。瀬戸氏は、カルボプラチン・ペメトレキセドベースの1次治療において、ペメトレキセドによる継続維持療法は外せないと結論付けている。
(ケアネット 細田 雅之)