乳がん治療について、ステージ分類に加えて腫瘍サブタイプの重要性を強調するエビデンスが報告された。現行の乳がん治療では、これまで各ステージにおける腫瘍サブタイプの寄与は明らかになっていなかったが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のJose P. Leone氏らが、Surveillance Epidemiology and End Results(SEER)プログラムのデータを解析し、臨床病理学的特徴が良好であるのはホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)乳がんであること、しかしながら、ほとんどのステージで全生存(OS)が最も良好だったのはHR+/HER2+乳がんであることを報告した。乳がんの4つの各ステージにおいて、OSは腫瘍サブタイプにより有意に異なっており、多変量モデルにおいても有意なままであったことも明らかにした。American Journal of Clinical Oncology誌2019年7月号掲載の報告。
各ステージでの腫瘍サブタイプ別にOSは有意に異なる
研究グループは、各ステージでの腫瘍サブタイプ別によるOSの違いを分析する目的で、SEERプログラムに登録された乳がん患者のうち、2010~13年の間に診断され、エストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体(HR)ならびにHER2の状態が既知の患者を対象に、患者特性を腫瘍サブタイプ別に比較した。
単変量および多変量解析により、OSに対する各変数の影響を明らかにするとともに、乳がん特異的生存についても解析した。
腫瘍サブタイプ別に患者特性を比較した、主な結果は以下のとおり。
・解析対象は16万6,054例で、腫瘍サブタイプの分布はHR+/HER2-が72.5%、HR+/HER2+が10.8%、HR-/HER2+が4.8%、トリプルネガティブ(TN)が12%であった。
・HR+/HER2-の患者は、年齢が高く、グレードが低く、ステージは早期であった(すべてp<0.0001)。
・OSは、各ステージにおいて、腫瘍サブタイプにより有意に異なっていた(交互作用のp<0.0001)。
・StageIで最もOSが高かった腫瘍サブタイプは、HR+/HER2-で、3年OSは97.2%であった。
・StageII、StageIII、StageIVで最もOSが高かった腫瘍サブタイプは、HR+/HER2+で、3年OSはそれぞれ94.5%、87.8%、54.8%であった。
・SageIVでは、腫瘍サブタイプのTNとHR+/HER2+との間で3年OSに40.1%の差があった。
・これらの結果は年齢、人種、グレード、組織型および配偶者の有無について調整した多変量解析によって確認された。
(ケアネット)