早期乳がんの免疫組織化学(IHC)に基づくサブタイプ別の生存期間について、イタリア・IRCCS-Ospedale Policlinico San Martino/ジェノバ大学のElisa Zanardi氏らが長期にフォローアップした。その結果、このサブタイプの定義が長期予後の層別化に妥当であることが示された。Oncology Research and Treatment誌オンライン版2020年6月8日号に掲載。
乳がんのサブタイプの割合と生存期間を評価
本研究は、1985~90年にStage I~IIIの乳がんと診断された女性200例のコホートで検討した。サブタイプと全生存期間(OS)および乳がん関連生存期間の関連を、多変量モデルを用いて評価した。
乳がんのサブタイプの割合と生存期間を評価した主な結果は以下のとおり。
・乳がんのサブタイプ別の割合は、luminal A-likeが42.0%、luminal B-like/HER2陰性が32.5%、HER2陽性が8.5%、トリプルネガティブが17.0%であった。
・腫瘍径2cm超が53.0%、リンパ節転移ありが47.5%であった。
・追跡期間中央値18.7年(範囲:0.3〜32.0年)の間に140例が死亡した(乳がん関連死亡は75例)。
・OS中央値はluminal A-likeが最も長く(21.2年、95%信頼区間[CI]:17.4~24.9)、luminal B-like/HER2陰性は乳がん関連生存期間の悪化と有意に関連していた(調整ハザード比[HR]:1.86、95%CI:1.09~3.16)。
・多変量解析で、腫瘍径2cm超(2cm以下に対するHR:1.71、95%CI:1.03~2.84)およびリンパ節転移あり(転移なしに対するHR:2.19、95%CI:1.03~4.65)が乳がん関連生存期間に影響していた。
著者らは、「分子プロファイリングなど、より精密な方法が広く利用可能になるまで、IHCに基づくサブタイプが乳がんの治療アルゴリズムに使用されるだろう」と述べている。
(ケアネット 金沢 浩子)