スボレキサントは、不眠症治療に用いられるデュアルオレキシン受容体拮抗薬である。MSD株式会社の佐野 秀樹氏らは、日常でみられるさまざまな初期治療下におけるスボレキサントによる不眠症治療の安全性プロファイルと臨床経過を明らかにするため、検討を行った。Expert Opinion on Drug Safety誌オンライン版2019年9月3日号の報告。
市販後調査(PMS;2015~17)より、スボレキサントによる初期治療時の患者の状態に基づき、睡眠薬未治療群(N群)、これまでの睡眠薬からの切り替え群(S群)、追加投与群(A群)、その他(O群)に分類し、サブグループ解析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・PMSより抽出された患者3,248例の内訳は、N群1,946例(59.9%)、S群703例(21.6%)、A群536例(16.5%)、O群63例(1.9%)であった。
・不眠症関連薬剤性副作用の発現率は、S群では5.3%であり、N群(0.46%)およびA群(1.5%)よりも高い傾向が認められた。
・6ヵ月時点における効果不十分による中止率は、S群では14.9%であり、N群(9.6%)およびA群(10.4%)よりも高い傾向が認められた。
著者らは「他の不眠症治療薬から切り替えてスボレキサントによる治療を開始する際には、不眠症関連薬剤性副作用を注意深くモニタリングする必要がある。このことは、切り替え前の不眠症治療薬を突然中断したことが原因である可能性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)