卵巣がん、オラパリブ+ベバシズマブ維持療法の第III相試験(PAOLA-1/ENGOT-ov2)/ESMO2019

フランス・レオンベラールセンターのIsabelle Ray-Coquard氏は、進行卵巣がんでプラチナ製剤+タキサン系抗がん剤+ベバシズマブでの1次治療が奏効した患者に対するPARP阻害薬オラパリブとベバシズマブの併用とベバシズマブ単剤での維持療法を比較した第III相PAOLA-1(ENGOT-ov2)試験の結果を発表。オラパリブ・ベバシズマブ併用はベバシズマブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長すると報告した。PAOLA-1(ENGOT-ov2)は無作為化二重盲検比較。
・対象:FIGO臨床病期分類でStage III~IVの高グレード漿液性がん、類内膜がん卵管がん、腹膜がんと診断され、プラチナ製剤+タキサンベースの化学療法にベバシズマブ3サイクル以上を施行し、完全奏効(CR)あるいは部分奏効(PR)と判定された患者806例
・試験群:オラパリブ(300mg×2/日)+ベバシズマブ(15mg/kg、3週ごと)(537例)
・対照群:プラセボ+ベバシズマブ(同上)(269例)
・評価項目:
[主要評価項目]研究グループ判定のPFS
[副次評価項目]全生存期間(OS)、無作為化から2度目の増悪または死亡までの期間(PFS2)、最初の後治療開始から死亡までの期間(TFST)、2度目の後治療開始から死亡までの期間(TSST)、QOL、安全性および忍容性。患者は1次治療における効果とBRCA変異の状態で層別化された。
主な結果は以下のとおり。
・治験担当医評価によるPFS中央値(ITT集団)は、試験群が22.1ヵ月、対照群が16.6ヵ月で、試験群で有意な延長が認められた(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]0.49~0.72、p<0.0001)
・暫定PFS2中央値は試験群が32.3ヵ月、対照群が30.1ヵ月であった(HR:0.86、95%CI:0.69~1.09)、OS中央値は未到達。
・TFST中央値は試験群が24.8ヵ月、対照群が18.5ヵ月であった(HR:0.59、95%CI:0.49~0.71、p<0.0001)。
・予め定めた年齢、Stage、PS、腫瘍減量手術時期、腫瘍減量手術の結果、1次治療の反応性のサブグループ解析ではいずれも試験群が優位であった。
・BRCA遺伝子変異を有する症例でのPFS中央値は試験群が37.2ヵ月、対照群が21.7ヵ月(HR:0.31、95%CI:0.20~0.47)、BRCA遺伝子変異なしの症例では試験群が18.9ヵ月、対照群が16.0ヵ月(HR:0.71、95%CI:0.58~0.88)であった。
・BRCA変異を含む相同組換え修復異常(HRD)を有する症例でのPFS中央値は試験群が37.2ヵ月、対照群が17.7ヵ月であった(HR:0.33、95%CI:0.25~0.45)。
・BRCA変異を含まないHRDを有する症例でのPFS中央値は試験群が28.1ヵ月、対照群が16.6ヵ月であった(HR:0.43、95%CI:0.28~0.66)。
・HDRなしあるいは不明の症例でのPFS中央値は16.9ヵ月、対照群が16.0ヵ月であった(HR:0.92、95%CI:0.72~1.17)。
・治療関連有害事象発現率は試験群が99%、対照群が96%、Grade3以上は試験群が57%、対照群が51%であった。主な項目は試験群が疲労感/無力症、悪心、高血圧、対照群が高血圧、疲労感/無力症、関節痛であった。
・健康関連QOLのスコアは両群で差を認めなかった。
(ケアネット)
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