gBRCA変異陽性、HER2陰性、再発高リスクの早期乳がん患者に対する術後薬物療法としてのオラパリブをプラセボと比較した国際共同第III相OlympiA試験において、主要解析(データカットオフ:2020年3月)で無浸潤疾患生存期間(iDFS)および遠隔無再発生存期間(DDFS)の有意な延長が示され、さらに第2回中間解析(データカットオフ:2021年7月)で全生存期間(OS)の有意な延長が示されている。今回、主要解析(データカットオフ:2020年3月)における日本人患者集団の有効性と安全性について、聖路加国際病院の山内 英子氏が第30回日本乳癌学会学術総会で発表した。
オラパリブの再発高リスク早期乳がんの日本人患者における術後薬物療法としてのベネフィット
・対象:局所治療および6サイクル以上の化学療法が終了したg
BRCA変異陽性、HER2陰性 (HR陽性またはトリプルネガティブ)の再発高リスクの早期乳がん患者 1,836例(日本人140例)
・試験群:オラパリブ(300mg、1日2回)を1年間投与 921例(日本人64例)
・対照群:プラセボ(1日2回)を1年間投与 915例(日本人76例)
・評価項目:
[主要評価項目]iDFS
[副次評価項目]DDFS、OS、安全性など
再発高リスクの早期乳がん患者に対する術後薬物療法としてのオラパリブをプラセボと比較したOlympiA試験における日本人患者集団の主な結果は以下のとおり。
・再発高リスクの早期乳がん患者の患者背景は、日本人集団と全体集団とも両群間でバランスがとれていた。ただし、白金製剤を含む化学療法による前治療は、国内で承認されていないため海外とは大きな差があった。
・オラパリブによるIDFSのベネフィットは、日本人集団(HR:0.50、95%CI:0.18~1.24)と全体集団(HR:0.58、95%CI:0.46~0.74、p<0.0001)とで同様だった。
・オラパリブによるDDFSのベネフィットも、日本人集団(HR:0.41、95% CI:0.11~1.16)と全体集団(HR:0.57、95%CI:0.44~0.74、p<0.0001)とで同様だった。
・主なGrade3以上の有害事象は、貧血、好中球減少、白血球減少で、貧血については本研究では輸血を必要とした症例はなかった。
・日本人集団における有害事象の発現状況は、オラパリブにおける既知の安全性情報、全体集団と同様だった。
山内氏は、「OlympiA試験は国別のサブグループ解析に対する検出力を有してなかったが、今回の日本人集団における有効性および安全性の結果は、g
BRCA変異陽性HER2陰性再発高リスク早期乳がんの日本人患者における術後薬物療法としてのオラパリブの臨床的ベネフィットを裏付けるものであった」と結論した。
(ケアネット 金沢 浩子)