高齢化とともに、ベンゾジアゼピン(BZD)やZ薬の使用は大幅に増加する。しかし、BZDやZ薬は、認知症発症リスクに対する懸念事項となっている。台湾・国立陽明大学のLi-Yen Tseng氏らは、BZDやZ薬の半減期や併用を考慮し、その後の認知症発症リスクを評価するためコホート研究を実施した。Neurotherapeutics誌オンライン版2019年12月4日号の報告。
対象は、台湾の全民健康保険研究データベースより抽出した、2003~12年に経口BZDまたはZ薬を新規で処方された65歳以上の高齢者。すべてのBZDは、さらなる比較を行うため、長時間作用型(20時間以上)または短時間作用型(20時間未満)に分類した。データは四半期ごとに集計した。薬剤の処方開始日から、死亡、認知症発症またはフォローアップ期間終了(2012年12月31日)のいずれか早いものまでを集計期間とした。フォローアップ期間中に発生した、血管性認知症を除くすべての認知症イベントを特定した。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者は、26万502例。
・短時間作用型BZD(調整オッズ比[aOR]:1.98、95%信頼区間[CI]:1.89~2.07)およびZ薬(aOR:1.79、95%CI:1.68~1.91)の使用患者は、長時間作用型BZD(aOR:1.47、95%CI:1.37~1.58)の使用患者よりも認知症リスクが高かった。
・BZDまたはZ薬を2つ以上併用した患者は、これらの薬剤の単剤使用患者よりも認知症リスクが高かった(aOR:4.79、95%CI:3.95~5.81)。
著者らは「BZDやZ薬の使用は、認知症発症リスクを増加させる。とくに、短時間作用型BZD、Z薬および併用は注意が必要である。これらの結果を明確にするためにも、さらなる介入研究が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)