4月6日、日本集中治療医学会が『COVID-19重症患者に対する人工呼吸管理に関する注意点』を発出。集中治療医学会ならびに日本呼吸療法医学会では、COVID-19重症患者に対する人工呼吸管理が増加している現状を踏まえ、日常的に重症呼吸不全の呼吸管理を行っていない施設やグラフィクモニターが搭載されない人工呼吸器を使用せざるを得ない場合に呼吸管理が行われる場合を想定し、海外の情報と本邦における経験に基づき、COVID-19患者の特徴に合わせた人工呼吸療法の対策を総括した。
※ガイドラインなどのようにエビデンスレベルを検討して作成したものではない。
概要は以下のとおり。
1. COVID重症患者の特徴
a)呼吸困難感出現から数時間で重症化する場合がある
b)放射線画像と肺酸素化能はしばしば乖離する
c)病態として中等度から重度のARDSを呈する
d)死腔換気の増加により分時換気量が大きい(10~14L/分)
e)呼気が延長しCO2排出に難渋する症例がある
f)吸気努力が亢進している(とくに人工呼吸開始早期)
g)鎮静薬に対し抵抗性を示す症例がある
h)経過中喀痰分泌物が増加し気道閉塞をきたす症例がある
2. 上記特徴を踏まえた対策
a)~h)の8項目
3. 2.のc)~f)の対策で換気が維持できない場合
c)~f)の4項目
人工呼吸療法に行き詰まったときやECMOを考慮する場合は「日本COVID-19対策ECMO-net」のコールセンターが利用できる。
(参考)ECMO相談窓口の開設について
4.その他の留意点
一般に人工呼吸管理ではガス交換を維持することだけでなく、人工呼吸に関連する合併症を防止することが重要である。症例によっては、ガス交換がある程度改善すれば合併症回避を優先することも必要となる。重症患者の人工呼吸に慣れないスタッフが接触を減らすためにいたずらに深鎮静による無動化を継続すると、人工呼吸器関連合併症を起こし生命予後を悪化させる。また、積極的な早期経腸栄養開始や、カテーテル関連血流感染防止などにも留意する。肺以外の臓器障害がある場合は、治療方針につき専門医に相談することを推奨する。
(ケアネット 堀間 莉穂)