2020年4月27日、大日本住友製薬株式会社のメトグルコ錠250mgおよび錠500mgの一部ロットおよび日本ジェネリック株式会社のメトホルミン塩酸塩錠500mgMT「JG」の一部ロットが自主回収(クラスI)されることとなった。
厚生労働省がメトホルミン製剤の分析を全15社に指示
昨年、シンガポール保険科学庁より、メトホルミン塩酸塩含有製剤から発がん性物質であるN-ニトロジメチルアミン(NDMA)が検出されたことに伴い、シンガポールの一部事業者が自主回収に着手した旨が発表された。これを受け、厚生労働省は2019年12月9日付け事務連絡「メトホルミン塩酸塩における発がん性物質に関する分析について(依頼)」において、メトホルミン製剤におけるNDMAの分析を全15社に対して依頼した。
なお、NDMAに関しては、メトホルミン製剤のみではなく、アンジオテンシンII受容体拮抗薬や一部のH
2受容体拮抗薬に対しても分析が依頼されている。
大日本住友製薬株式会社は、「分析の結果PTP包装品の複数のロットから管理指標(メトホルミン塩酸塩として1日2,250mgを70年間服用し続けた場合に10万人に1人に発がんするリスクが増える量)を超えるNDMAが検出されたため、管理指標を超えたロットおよび超えている可能性のあるロットのPTP包装品について、自主回収することとしました。原因は明確ではありませんが、PTPアルミ箔の錠剤接着面の印刷インクに含まれるニトロセルロース系樹脂由来の物質が、錠剤中の原薬に僅かに残留していた原料であるジエチルアミンと反応してNDMAが生成された可能性があると考えています」としている。
学会は医療者に対し、回収への協力と患者への治療継続の必要性の説明を依頼
日本糖尿病学会は、学会ホームページにおいて、「これまでに本製品によるNDMAに関連した重篤な健康被害等の報告はありません。メトグルコなどメトホルミン製剤を服用中の患者の皆様は、本件について心配な点があれば独断で服用を中止せず、主治医に相談してください。また、医療従事者の皆様におかれましては、当該ロットの回収へのご協力と、患者さんから相談を受けた場合には糖尿病に対する治療継続の必要性のご説明をお願いいたします」として声明を発表している。
(ケアネット 鈴木 渉)