新型コロナは日常診療にどう影響?勤務医1,000人に聞いたストレス・悩みの理由

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/09

 

 2020年初頭から続いたCOVID-19の感染拡大は、ようやく鈍化傾向を見せ始めた。各地で出されていた緊急事態宣言が先月までに相次いで解除となり、社会が“これまでの日常”に戻るべく動き出しているが、医療現場では依然、緊張した対応を迫られる状況が続いている。ケアネットでは、医師会員を対象に、コロナ対応を巡る経営・組織・心理面での影響についてアンケート調査を実施し、1,000人から回答を得た。

 調査は、2020年5月16~22日、ケアネット会員のうち勤務医を対象にインターネット上で実施した。回答者の内訳は、年代別では30代が最も多く(32%)、40代(31%)、50代(23%)、60代以上(14%)だった。勤務先における立場は、「一般スタッフ」が最も多く(578人、58%)、次いで「部下6人以上のマネジメント層」(241人、24%)、「部下5人以下のマネジメント層」(181人、18%)だった。病床数別では、200床以上が77%で最も多く、100~199床(15%)、20~99床(8%)という順だった。なお今回のアンケート結果は、COVID-19感染者数が多かった地域のうち、9都府県(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡)で勤務する医師にご協力いただいたものである。

 COVID-19感染拡大による影響として最も多かったのは、「院内感染防止のために特別な対応が必要になった」で、634人が回答に挙げていた(アンケートは選択形式、複数回答可)。続いて多かったのは、「COVID-19感染リスクに自身・スタッフがさらされることに不安を覚える」(574人)、「学会や勉強会などの直接的なコミュニケーションの機会が失われた」(556人)、「衛生資材の確保が難しくなった」(539人)で、いずれも半数以上の医師が回答に挙げていた。このほか、「来院者が減り、経営面の不安が出るようになった」、「見通しが立たない状況が続くことに疲れやいらだちを感じる」なども多くの医師が回答に挙げていた。

 各選択肢のうち、一般スタッフの割合が最も高かったのは、「院内感染防止のために特別な対応が必要になった」(58.5%)で、以下、「COVID-19感染リスクに自身・スタッフがさらされることに不安を覚える」(55.2%)「学会や勉強会などの直接的なコミュニケーションの機会が失われた」(51.7%)などが続いた。

 マネジメント層においても、上記3項目を選択した人は多かった。これに加え、とくに部下6人以上のマネジメント層では「衛生資材の確保が難しくなった」(67.2%)を挙げる人の割合が高く、スタッフの身を守る立場の医師たちが感染防止対策に苦慮していることがうかがえる。同様に、「来院者が減り、経営面が不安」を半数以上が挙げているのも、部下6人以上のマネジメント層の回答の特徴だ。

 アンケートでは、現況に対しストレスや悩みを解消するための工夫や取り組みについて記述式で聞いたところ、多くのコメントが寄せられた。今回の調査の詳細と、具体的な記述コメントの内容はCareNet.comに掲載中。

(ケアネット 鄭 優子)