イピリムマブとニボルマブの併用は、悪性黒色腫や腎細胞がんにおいて全生存期間(OS)の改善を示している。非小細胞肺がん(NSCLC)においても、イピリムマブの用法・用量の肺がんへの適正化(1mg/kg 6週ごと投与)により、有効性を示す試験結果が報告されている。CheckMate-227試験は、ニボルマブベースの治療と化学療法を比較したオープンラベル無作為化第III相試験。同試験は、Part1とPart2で構成されており、Part1の結果として、高腫瘍変異負荷(TMB≧10mut/Mb)患者におけるイピリムマブ・ニボルマブ併用の化学療法に対する無増悪生存期間(PFS)の延長が報告されている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、Part1の最終結果、とくにPD-L1≧1%の患者における主要評価項目であるイピリムマブ+ニボルマブ対化学療法の全生存期間(OS)のデータについて、スイス・ローザンヌ大学のSlonge Peters氏が発表した。
・対象:未治療のPD-L1発現1%以上(Part1a)および1%未満(Part1b)のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者(PS 0~1、組織系問わず)
・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ群(NIVO+IPI群)
ニボルマブ単独群(TPS1%以上)(NIVO群)
ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満)(NIVO+Chemo群)
・対照群:化学療法(組織型により選択)単独(Chemo群)
・評価項目
[複合主要評価項目]高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群のPFS、PD-L1発現(≧1%)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群のOS
[副次評価項目]高TMB(≧13/メガベース)かつPD-L1発現(TPS1%以上)患者におけるNIVO群対Chemo群のPFS、高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のOS、PD-L1なしまたは低発現(TPS1%未満)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のPFS、そのほか奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・PD-L1≧1%のOSはNIVO+IPI群で17.1ヵ月、Chemo群14.9ヵ月と有意にNIVO+IPI群で改善した(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.65~0.96、p=0.007)。同条件におけるNIVO群のOSは15.7ヵ月でChemo群に対するHRは0.88(95%CI:0.75~1.04)であった。
・盲検下独立中央評価委員会(BICR)評価によるORRはNIVO+IPI群35.9%、NIVO群27.5%、Chemo群30.0%であった。
・BICR評価によるDORはNIVO+IPI群23.2ヵ月、NIVO群15.5ヵ月、Chemo群6.2ヵ月であった。
・PD-L1<1%のOSはNIVO+IPI群17.2ヵ月、Chemo群12.2ヵ月であった(HR:0.62、95%CI:0.48~0.78)。同条件におけるNIVO+Chemo群のOSは15.2ヵ月でChemo群に対するHRは0.78(95%CI:0.60~1.02)であった。
・全対象患者(PD-L1レベルにかかわらず)のOSはNIVO+IPI群17.1ヵ月、Chemo群13.9ヵ月であった(HR:0.73、95%CI:0.64~0.84)。
・NIVO+IPI群とChemo群のサブグループ解析のすべての項目、いずれのPD-L1発現レベルにおいてもNIVO+IPI群が優位であった。
・有害事象については、従来の報告と同様であり、新たなものはみられなかった。
CheckMate-227試験は、NSCLCの1次治療におけるPD-L1阻害薬とCTLA-4阻害薬の併用で主要評価項目を達成した初の第III相試験となった。PD-L1発現レベルを問わず、化学療法に対し臨床的に意味のあるOSの改善を示した。加えて、PD-L1≧1%以上についてはNIVO群に対しPD-L1<1%についてはNIVO+Chemo群に対し、アウトカムを改善した。Peters氏は個人的見解として、免疫チェックポイント阻害薬の併用は、進行NSCLCの1次治療の選択肢となる可能性を示したと結んだ。
この発表は同時にNEJM誌オンライン版2019年9月28日号に掲載された。
(ケアネット 細田 雅之)