待ち望まれる国産の新型コロナワクチン実現に王手か―。大阪府は6月17日の記者会見で、大阪大学などと共に産官学連携で開発に取り組んできた、新型コロナウイルスの予防ワクチンの治験を6月30日に開始することを明らかにした。新型コロナウイルスを巡っては、世界規模で予防ワクチンの開発が進行中であり、1日も早い実現が待たれる状況だが、ヒトへの投与が実施されるのは国内初となるという。会見で吉村 洋文知事は、「新型コロナ対策に治療薬とワクチンが非常に重要で、その第1歩を大阪で踏み出す。国産ワクチンによって、日本のコロナとの戦いを反転攻勢させていきたい」と語り、期待感を示した。
大阪府は4月に大阪市や大阪大学、大阪府立病院機構などと連携協定を結び、新型コロナウイルス感染症のワクチンや治療薬の早期実現に向けた研究開発に取り組んできた。すでに動物実験での安全性は確認されており、今月末からの治験へとステップを進める。
まずは大阪市立大学医学部付属病院の医療従事者(20~30例)を対象に実施。2020年10月には、数百例程度に規模を拡大した治験を実施する。府は、安全性が確認できれば、年内にも10~20万単位でのワクチン製造に漕ぎ着けたい考えだ。製造は、プラスミドDNAの製造技術および設備を有するタカラバイオ株式会社を中心に、AGC Biologics社、Cytiva社、シオノギファーマ株式会社が担う。順調に進めば、21年春~秋に国の認可を得て、実用化を目指す。
(ケアネット 鄭 優子)