イタリア・Universita degli Studi di MilanoのSalvatore Siena氏は、HER2陽性転移大腸がんに対する抗HER2抗体薬物複合体製剤トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、DS-8201)の多施設共同非盲検第II相試験DESTINY-CRC01の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。標準治療に抵抗性を示す転移大腸がんでは注目すべき活性を示すと報告した。
・対象:2次治療以上の治療歴を有するHER2陽性切除不能・転移大腸がん患者78例
コホートA(53例):HER2 IHC3+またはIHC2+/ISH+
コホートB(7例):HER2 IHC2+/ISH-
コホートC(18例):HER2 IHC1+
・介入:トラスツズマブ デルクステカン6.4mg/kg 3週ごと
・評価項目:
[主要評価項目]コホートAでの独立中央判定による確定奏効率(ORR)
[副次評価項目]病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、コホートBとCでのORR
主な結果は以下のとおり。
・全治療のレジメン数中央値は4、全例がイリノテカン、フルオロウラシル、オキサリプラチンの投与歴を有した。また、全症例の20.5%、コホートAの30.2%で抗HER2療法の治療歴があった。
・コホートAの確定ORRは45.3%で、うちCRは1例、DCRは83.0%であった。
・コホートAのDoR中央値は未到達であった。
・コホートAのPFS中央値は6.9ヵ月、OS中央値は未到達であった。
・HER2低発現(IHC2+/1+)の2コホートにおいては、奏効が認められなかった。
・全Gradeの治療関連有害事象(TEAE)発現率は症例全体、コホートA共に100%であった。Grade3以上のTEAEは全体が61.5%、コホートAが60.4%であった。
・対象症例全体では薬剤関連の間質性肺炎は5例(6.4%)で認定され、Grade2が2例、Grade3が1例、Grade5が2例であった。
・サブグループ解析では抗HER2療法の治療歴がある患者でも効果が認められた。
Siena氏は「進行HER2陽性大腸がんに対する治療オプションとしての潜在力を示している」との見解を表明した。
(ケアネット)