米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAndrew X. Zhu氏は、切除不能に対する肝細胞がんに対するマルチキナーゼ阻害薬レンバチニブと免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)ペムブロリズマブの併用療法の第Ib相試験の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。この併用療法が良好な抗腫瘍効果と安全性を示したと報告した。
・対象:Barcelona Clinic Liver Cancer(BCLC)ステージングシステムでStage B/C、Child-Pugh Aの切除不能肝細胞がん
・介入:レンバチニブ8mg/日または12mg/日(連日)+ペムブロリズマブ200mg(day1)3週ごと
・評価項目:
[主要評価項目] Part 1(用量制限毒性コホート) 安全性・忍容性、Part 2(拡大コホート) 独立画像審査(IIR)評価によるmRECISTおよびRECIST v1.1による奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)
[副次評価項目・探索的評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、無増悪期間(TTP)、薬物動態、抗ペムブロリズマブ抗体の発現状況
主な結果は以下のとおり。
・評価はPart 1 6例、Part 2 98例で行った。
・Grade3以上の治療関連有害事象(AE)発現率は67%、Grade3以上の主な副作用は高血圧の17%であった。
・AEによる投与中止はレンバチニブ14%、ペムブロリズマブ10%、両剤とも中止は6%であった。
・mRECISTでのORR は46%、DoR中央値は8.6ヵ月、奏効までの期間(TTR)中央値は1.9ヵ月、病勢制御率は88%であった。
・RECIST v1.1でのORR は36%、DoR中央値は12.6ヵ月、TTR中央値は2.8ヵ月、病勢制御率は88%であった。
・mRECISTでのPFS中央値は9.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.6~9.7)、RECIST v1.1では8.6ヵ月(95%CI:7.1~9.7)であった。
・OS中央値は22.0ヵ月(95%CI:20.4~評価不能)であった。
Zhu氏は、「レンバチニブとペムブロリズマブの併用は高い奏効率と病勢制御率を示し、新たな毒性や予期せぬ毒性も認められなかった」と結論付けた。
(ケアネット)