白斑は慢性の自己免疫疾患で、皮膚の脱色とともに生活の質の低下をもたらす。白斑には承認された治療薬がなく、現行の適応外療法の効果は限定的である。改善された治療の開発が待たれる中、JAK阻害薬ルキソリチニブ(本邦では骨髄線維症、真性多血症の適応で承認)のクリーム製剤が、有望な治療選択肢となりうることが報告された。米国・タフツ・メディカルセンターのDavid Rosmarin氏らによる最長52週間にわたる第II相多施設共同二重盲検無作為化対照試験において、ルキソリチニブ・クリームの治療により、かなりの白斑病変で再色素沈着が認められ、忍容性は検討した全投与量で良好であったことが示された。結果を踏まえて著者は、「示されたデータは、ルキソリチニブ・クリームは、白斑患者にとって効果的な治療オプションとなりうることを示すものであった」と述べている。Lancet誌2020年7月11日号掲載の報告。
研究グループは、白斑患者におけるルキソリチニブ・クリームの治療効果を調べるとともに、最長52週の二重盲検治療の有効性と安全性を評価した。
試験は米国18州26の病院および医療センターで行われた。色素脱失が顔面の体表面積(BSA)の0.5%以上および顔面以外のBSAで3%以上の患者を、1対1対1対1対1の割合でインタラクティブなレスポンス技術を用いて無作為に、(1)ルキソリチニブ・クリーム1.5%を1日2回、(2)同1.5%を1日1回、(3)同0.5%を1日1回、(4)同0.15%を1日1回、(5)溶媒(対照群)を1日2回それぞれ投与する5群に割り付けた。各群とも総BSAの20%以下の病変部に24週間塗布した。
対照群と0.15%塗布群の被験者は、24週時点の評価でF-VASI(facial Vitiligo Area Scoring Index)によるベースラインからの25%以上の改善が示されなかった場合、再無作為化を行い、(1)(2)(3)の高用量の3群のいずれかに割り付けた。(1)(2)(3)各群の被験者は、52週まで元の用量のままだった。
被験者、研究者、試験スポンサー(中間解析および主要評価項目解析のデータモニタリングチームのメンバーは除く)は、試験期間中、治療の割付は知らされないままだった。
主要評価項目は、24週時点のF-VASIのベースラインからの50%以上改善(F-VASI50)を達成した患者割合で、intention-to-treat解析で評価した。
主な結果は以下のとおり。
・2017年6月7日~2018年3月21日に、205例が適格性のスクリーニングを受け、48例が除外され、157例(平均年齢48.3[SD 12.9]歳、男性73例[46%])が無作為化を受けた。
・157例は、33例(21%)が(1)群、30例(19%)が(2)群、31例(20%)が(3)群、31例(20%)が(4)群、32例(20%)が(5)の対照群に割り付けられた。
・24週時点のF-VASI50達成患者割合は対照群との比較において、(1)群(15/33例[45%])と(2)群(15/30例[50%])で、有意に高率であった。
・4例で治療に伴う重篤な有害事象がみられた。(1)群で1例が硬膜下血腫、(2)群で1例が痙攣発作、(3)群で冠動脈閉塞、食動アカラシア(各1例)がみられたが、いずれも試験治療とは無関係であった。
・治療関連の有害事象は塗布部のかゆみが最も頻度が高く、(1)群1/33例(3%)、(2)群3/30例(10%)、(3)群3/31例(10%)、(4)群6/31例(19%)で、また対照群では3/32例(9%)報告された。
・治療関連の有害事象としてのざ瘡は、ルキソリチニブ・クリーム投与群で13/125例(10%)、対照群で1/32例(3%)報告された。
・すべての治療関連の有害事象の重症度は軽度~中等度で、治療群間で同等であった。
(ケアネット)