まれな腫瘍で一定の治療法がない脾辺縁帯リンパ腫(SMZL)について、過去17年間の患者の生存アウトカムを解析した知見が示された。米国・マイアミ大学のJorge A. Florindez氏らによる米国の大規模な集団ベースの解析で、治療戦略によって全生存(OS)期間またはSMZL特異的生存期間に、有意差は認められなかったという。また、高齢、ヒスパニック系、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)形質転換およびB症状を有することが予後不良因子として示された。Cancer誌オンライン版2020年8月7日号掲載の報告。
研究グループは、SEER(Surveillance, Epidemiology, and End Results)データベースを用い、1999~2016年の間にSMZLと診断された患者を特定し、経過観察、脾臓摘出術、化学療法、および脾臓摘出術+化学療法の各治療戦略について評価した。
OSおよびSMZL特異的生存について、それぞれCox回帰モデル、Fine and Gray回帰モデルを用いて解析した。
主な結果は以下のとおり。
・解析対象は1,671例で、大部分の患者は、>60歳(71.3%)、白人(89.7%)、非ヒスパニック系(91.7%)であった。
・DLBCLへの形質転換は71例(4.2%)に認められ、10年転換率は8.6%(95%信頼区間[CI]:6.6~10.9)であった。
・多変量解析の結果、SMZL特異的生存期間の短縮は、60歳以上(部分分布ハザード比[SHR]:1.85、95%CI:1.40~2.45、p<0.001)、ヒスパニック系(SHR:1.50、95%CI:1.06~2.13、p=0.023)、DLBCL形質転換(SHR:2.10、95%CI:1.48~2.97、p<0.001)、およびB症状の存在(SHR:1.67、95%CI:1.23~2.27、P<0.001)と関連していた。
・脾臓摘出術との比較において、経過観察(SHR:0.92、95%CI:0.67~1.28、p=0.636)、化学療法のみ(SHR:1.28、95%CI:0.93~1.76、P=0.127)、および脾臓摘出術+化学療法(SHR:1.43、95%CI:0.96~2.13、p=0.089)のいずれも、SMZL特異的生存期間に有意差は認められなかった。
・OS期間短縮の予測因子は、60歳以上(ハザード比[HR]:2.98、95%CI:2.37~3.76、p<0.001)およびB症状の存在(HR:1.33、95%CI:1.06~1.67、p=0.014)であった。
(ケアネット)