適切な治療には、確度の高い情報が得られる検査の実施が重要である。今回、それらが治療の成否の鍵を握ることを再認識する試験結果が示された。イタリア・モリーゼ大学のFabio Perrotta氏らは、一般的に進行がん患者で行われる細胞検体の採取について、超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)で採取した検体が、非小細胞肺がん(NSCLC)におけるPD-L1検査に適しているかを評価する大規模な多施設共同研究を行った。その結果、EBUS-TBNAはPD-L1検査に適した検体を提供することが示され、進行N期と脳転移はPD-L1高発現と関連することも示されたという。抗PD-1/PD-L1抗体治療を行うに当たっては、がん細胞におけるPD-L1の発現が、患者を選択するための臨床的に重要なバイオマーカーになる。NSCLC患者を対象とした免疫療法の臨床試験では、PD-L1検査の組織学的エビデンスが必要とされており、そうした背景を踏まえて本検討は行われた。Chest誌2020年9月号掲載の報告。
研究グループは2015年1月~2016年12月に、英国の6施設および米国の1施設におけるNSCLCの連続症例から採取した577検体について分析した。
PD-L1検査におけるEBUS-TBNA検体採取の適切性を他の検体採取法と比較するとともに、研究集団における臨床病理学的特徴とPD-L1発現との関連を調べた。
主な結果は以下のとおり。
・EBUS-TBNA群(189検体)では、PD-L1検査が成功した患者の割合は94.7%であった。
・他の組織採取法の検体と比較し、EBUS-TBNAで採取した検体の適切性に重大な差はなかった。
・高齢患者では、PD-L1検査の不成功率が高かった(OR:1.06、p=0.008)。
・多変量解析の結果、進行N期(p=0.048)および脳転移の存在(p<0.001)は、PD-L1高発現と関連していた。
(ケアネット)