COVID-19重症化予測する5つの血中マーカー同定/国際医療研究センター

提供元:ケアネット

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公開日:2020/09/29

 

 国立国際医療研究センターは9月24日、COVID-19患者から得られた経時的な採血検体により予後予測が可能な分子マーカーの探索を進めた結果、重症・重篤化するケースに共通する5つの因子を特定したと発表した。COVID-19を巡っては、患者の約8割が軽症のまま回復し、残りの約2割が重症・重篤化することがわかっているが、現段階では予後を予測する有効な手段がないため、COVID-19患者全員を隔離もしくは入院させて経過を観察する必要がある。本結果により、重症・重篤化予備軍に注力した経過観察が可能になり、医療資源の有効活用につながることが期待される。研究をまとめた論文は、2020年9月14日付(日本時間)でGene誌オンライン版に掲載された。

 本研究では、COVID-19患者28例の採血検体を使い、病態の経過に沿った液性因子の経時的変化について網羅的解析を実施した。その結果、軽症回復者と重症化患者を分けることが可能な因子として、CCL17、IFN-λ3、CXCL9、IP-10、IL-6を同定した。CCL17は、将来の重症者では、感染初期の軽症時から基準値よりも低く、その後重症化するまで低い値が続いた。一方で、軽症者では健常者とほぼ同じ値だった。残りの4因子は、感染初期では軽症者と将来の重症者に違いはないものの、重症化した患者では、数日前から急激に値が上昇することがわかった。

 併せて、これら5つの因子がCOVID-19重症化に特異的かどうかについて、ほかの疾患群(C型慢性肝炎、児童精神疾患、2型糖尿病、慢性腎不全、慢性心不全、間質性肺炎、関節リウマチ)から得られた血液で確認した。その結果、CCL17が低い値を取るのは、COVID-19重症者のみだった。IFN-λ3は、C型慢性肝炎で一部高い値を示したが、COVID-19重症者で統計学的に有意に高い値を示した。CXCL9とIP-10についても、COVID-19重症者で特徴的に高い値を示した。IL-6は関節リウマチで高い値を示すことがあったが、COVID-19重症者で統計学的に有意に高い値を示した。これらの結果からも、5つの因子がCOVID-19重症化患者を早期発見および囲い込みに有用である可能性が示された。

 同センターでは今後、国内において多施設共同による前向き試験を実施し、実臨床での有効性についてさらに検証を進めていく予定。

(ケアネット 鄭 優子)

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