EGFR-TKIに耐性となりT790M陽性が確認された進行肺腺がんに対して、オシメルチニブとベバシズマブの併用は、オシメルチニブ単独に比し、無増悪生存期間(PFS)の延長を示せなかった。日本のWest Japan Oncology Group(WJOG)の試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で仙台厚生病院の戸井 之裕氏から発表された。
このWJOG8715L試験は、日本国内で実施されたオープンラベルの無作為化第II相試験である。
・対象:EGFR-TKIで進行後T790M変異陽性が確認されたEGFR変異陽性進行肺腺がん81例
・試験群:オシメルチニブ+ベバシズマブ(OB群)
・対照群:オシメルチニブ(O群)
・評価項目
[主要評価項目]主治医判定によるPFS
[副次評価項目]奏効率(ORR)、治療成功期間(TTF)、全生存期間(OS)、安全性
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値16ヵ月時点でのPFS中央値は、O群13.5ヵ月、OB群9.4ヵ月、HR1.44(95%CI:1.00~2.08)、p=0.20とOB群のほうが短かった。
・ORRはO群55.0%、OB群71.8%と、OB群のほうが高かった。
・抗VEGF薬投与歴のないO群のPFS中央値は13.7ヵ月、OB群のPFS中央値は11.1ヵ月であったが、抗VEGF薬の投与歴があったO群のPFS中央値は15.1ヵ月で、OB群のPFS中央値は4.6ヵ月と短かった。
・TTF中央値はO群11.2ヵ月、OB群8.4ヵ月、HR1.54、p=0.12であった。
・OS中央値は、O群22.1ヵ月で、OB群は未到達、HR1.02、p=0.96であった。
・有害事象としての蛋白尿と高血圧は、有意にOB群で頻度が高く、貧血は有意にO群で高率であった。OB群に重篤な塞栓症や出血は認められなかった。
(ケアネット)