急増するオンライン学会、参加経験と満足度は?/医師1,000人に聞きました

提供元:ケアネット

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公開日:2020/10/07

 

 新型コロナウイルス感染症の影響により、今年には入って急増したのがオンライン(Web)上で行われる学会だ。感染流行初期の2、3月は開催中止に追い込まれる学会が多かったが、4月以降からオンラインへのシフトが本格化し、秋以降もオンライン上のみ開催、もしくは現地開催とのハイブリッド形式を採用する学会が大半となっている。

 ケアネットでは、会員医師に協力いただき、オンライン学会への参加経験の有無や、参加した感想をアンケート形式で聞いた。2020年8月13日~19日に1,000名を対象にオンライン学会への参加経験の有無を聞き、「参加経験あり」の回答者に参加学会や満足度、感想を聞いた。

半数以上が「参加経験有」と回答

 「オンライン学会への参加経験あり」と回答したのは1,000名中556名。アンケートを実施した8月中旬時点で回答者の半数以上がオンライン学会へ参加した経験があった。参加経験者に絞った設問では、参加者が多かったのは日本内科学会、日本循環器学会、日本外科学会の順となった。オンライン化で気軽に参加できることも影響したのか、参加学会は海外学会も含めて多岐にわたり、計50以上の名前が挙がった。

満足度は「10点満点中6.7点」

 続いて参加したオンライン学会に対する満足度を「10点満点」で聞いた質問では、回答者の平均は6.7点となった。8点とした回答者が135名(24.2%)と最も多く、概ね満足した参加者が多かったようだ。参加者が5名以上いた学会のうち、日本内分泌学会(8.6点)、日本医学放射線学会(8.3点)、日本整形外科学会(7.9点)の順に満足度が高かった。一方、「0点」とした回答者は13名(2.3%)で、その全員が同じ学会の参加者だった。該当学会は当日の通信環境が悪く、サイトに接続できなかった参加者が多数いたことが低評価の要因となったようだ。

よい点「移動時間がない」、悪い点「ライブ感がない」

 参加者にオンライン学会のよかった点、悪かった点を聞いた設問(複数回答可)では、よい点は「移動時間がかからなかった」(356名・64.0%)が最も多く、「移動宿泊費がかからなかった・学会費が安くなった」(266名・47.8%)、「都合のよい時間に何回でも視聴できた」(260名・46.7%)が続いた。一方、悪かった点では「ライブ感がなく、参加した感覚に乏しかった」(159名・28.5%)、「現地の観光や飲食の楽しみがなくなった」(146名・26.2%)、「ほかの参加者とのコミュニケーションの機会が失われた」(138名・24.8%)、「通信環境・配信環境に難があった」(101名・18.1%)といった回答が続いた。しかし、「よかった点はない」との回答者が15名(2.6%)だったのに対し、「悪かった点はない」との回答者は72名(12.9%)と、オンライン学会に対して好意的な参加者が多いことが伺われる。

「コロナにかかわらず、来年もオンライン希望」が6割以上

 参加者の高い満足度の裏付けとして、「COVID-19の蔓延状況にかかわらず、来年以降も完全オンライン開催を希望しますか?」との設問に対し、「希望する」「どちらかといえば希望する」の回答者はあわせて64%となり、自由回答欄には「オンライン化の流れは変えられない」「来年以降もハイブリッド開催が主流になりそう」といった声が多く寄せられた。学会側は通信環境などの基本的な部分を整備しつつ、オンラインでのライブ感の醸成や参加者同士のコミュニケーション手段の用意など、ウィズコロナ時代の学会像を試行錯誤しながらつくる時代に入ったようだ。

アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。
急増するオンライン学会、参加者の満足度は?

(ケアネット 杉崎 真名)