転移を有するPTEN欠損去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する1次治療としての、AKT阻害薬ipatasertibとアビラテロン/プレドニゾロンの併用療法は、アビラテロン/プレドニゾロンに比べて、画像評価による無増悪生存期間(rPFS)を有意に延長することが示された。日本も参加した、この国際共同のプラセボコントロール第III相試験、IPATential150の結果は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で英国・The Royal Marsden HospitalのJohann De Bono氏より発表された。
・対象:未治療のmCRPC患者
・試験群:ipatasertib(400mg/日)+アビラテロン(1,000mg/日)++プレドニゾロン(5mg×2/日)を投与(IPAT群、547例
・対照群:プラセボ+アビラテロン+プレドニゾロン(Pla群、554例)
・評価項目:
[主要評価項目]全症例(ITT)およびPTEN欠損症例における、主治医判定によるrPFS
[副次評価項目]全生存期間(OS)、疼痛増悪までの期間、化学療法開始までの期間、奏効率、遺伝子検索(NGS)によるPTEN欠損症例におけるrPFSなど
[統計学的設計]PTEN欠損症例におけるrPFS(α=0.05)、ITTでのrPFS(α=0.01)、PTEN欠損のOS、ITTのOSが順に解析される。
主な結果は以下のとおり。
・1,101例が登録され、PTEN欠損(免疫組織化学染色[IHC]での腫瘍細胞のPTEN染色<50%)は521例であった。
・PTEN欠損患者のrPFS中央値はIPAT群18.5ヵ月、Pla群16.5ヵ月、ハザード比(HR)は0.77(95%CI:0.61~0.98)、p=0.0335と有意にIPAT群で良好であった。
・ITTにおけるrPFS中央値は、IPAT群19.2ヵ月、Pla群16.6ヵ月、HR0.84(95%CI:0.71~0.99)、p=0.0431であった。これは予め設定されていたp値の閾値(α=0.01)を下回らなかった。
・PTEN欠損症例における奏効率は、Pla群39%に対し、IPAT群で61%と高かった(CR19%、PR41%)。
・NGSによるPTEN欠損症例(208例)におけるrPFS中央値は、IPAT群19.1ヵ月、Pla群14.2ヵ月、HR0.65(95%CI:0.45~0.95)であった。
・有害事象は、IPAT群でGrade3以上の皮疹、下痢、高血糖、肝機能異常などが多かった。重篤な有害事象はIPAT群で39.6%、Pla群で22.7%に認められた。有害事象中止は、IPAT群21.1%、Pla群5.1%、減量はそれぞれ39.9%、6.2%であった。
(ケアネット)