早期非小細胞肺がん(NSCLC)における免疫チェックポイント阻害薬の術前補助療法は、すでに幾つかの試験で検討され、有望な結果が得られている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、デュルバルマブの術前補助療法を評価する第II相多施設共同試験(IFCT-1601 IONESCO)の中間解析の結果を、フランス・Cochin病院のMarie Wislez氏が発表した。
・対象:Stage1B(4cm以上)、2、3A(N2除く)の切除可能NSCLC
・介入:デュルバルマブ750mg 2週ごと3サイクル投与後2〜14日目に手術
・評価項目:
[主要評価項目]完全(R0)切除の割合
[副次評価項目]術後90日死亡率、安全性、全生存期間(OS)、無病生存期間(DFS)、奏効率、MPR(Major Pathologic Response、生存腫瘍細胞10%以下)、初回投与から手術までの期間
主な結果は以下のとおり。
・2017年4月〜2019年8月に50例が登録され、46例がデュルバルマブ投与対象となった。
・患者の年齢中央値61.0歳、 男性70%、喫煙者は94%であった。
・R0切除割合は89.1%(46例中41例)と、仮説割合の85%を超え、主要評価項目を達成した。
・46例中4例はPR、36例がSD、6例がPDで、MPRは43例中8例の18.6%であった。
・術後90日の死亡率は9%(4例)。そのため、登録は中止となった。死亡した4例中3例は、心血管系などの併存疾患を有しており、デュルバルマブとの直接の関連はみられなかった。
・全Gradeの有害事象(AE)は33.3%、すべてGrade2以下であった。
・追跡期間23ヵ月におけるOSとDFSの中央値は未達、 1年OS率は89.7%、12ヵ月DFS率は78.2.%であった。
(ケアネット 細田 雅之)