尿失禁への骨盤底筋トレーニング、筋電図バイオフィードバック併用は?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2020/10/29

 

 緊張性・混合性尿失禁の女性に対する、骨盤底筋トレーニング(PFMT)への筋電図バイオフィードバックの併用は、24ヵ月後の尿失禁重症度の改善に対し効果が認められるというエビデンスはないことが示された。英国・Glasgow Caledonian UniversityのSuzanne Hagen氏らが、600例を対象に行った並行群間比較無作為化試験の結果明らかにしたもので、BMJ誌2020年10月14日号で発表した。これまでにコクランレビューでは併用の有益性が示される一方、メタ解析では有益性は認められないとの結果が示され、その後の2件の小規模単施設試験では治療直後の評価では有益性が認められるなどの報告が寄せられていた。今回の大規模試験の結果を踏まえて著者は、「PFMTへの筋電図バイオフィードバックのルーチンの実施は推奨すべきではない。PFMTの効果を最大化する他の方法を検討すべきだ」とまとめている。

自宅でもPFMTと筋電図バイオフィードバックを使用

 研究グループは2014年2月~2016年7月に、緊張性または混合性尿失禁を新たに発症した、18歳以上の女性600例を対象に試験を行った。

 被験者を2群(各群300例)に分け、一方にはPFMT+筋電図バイオフィードバックを(筋電図バイオフィードバック群)、もう一方にはPFMTのみ(対照群)を行った。

 両群ともに、16週間で6回の失禁療法士(continence therapist)との対面療法を行った。筋電図バイオフィードバック群には、指導管理を伴うPFMTと自宅で行うPFMTに加え、筋電図バイオフィードバックを診察時と自宅で行った。対照群では、指導管理PFMTと自宅PFMTのみを行った。PFMTプログラムは、診察を重ねながら進行した。

 主要アウトカムは、24ヵ月後の自己申告による尿失禁重症度で、国際尿失禁評価質問票簡易版「ICIQ-UI SF」(0~21)で評価した。副次アウトカムは、完治または改善、その他の骨盤底筋症状、質調整生存年などだった。

24ヵ月後の重症度、両群で同等

 24ヵ月後のICIQ-UI SFスコア平均値は、筋電図バイオフィードバック群8.2、対照群8.5で有意差はみられなかった(平均群間差:-0.09、95%信頼区間[CI]:-0.92~0.75、p=0.84)。

 筋電図バイオフィードバック群は、介入費用(平均群間差:121ポンド[154ドル、133ユーロ]、95%CI:-409~651、p=0.64)、質調整生存年(-0.04、-0.12~0.04、p=0.28)のいずれも両群で同等だった。

 48例が有害事象を報告。そのうち23例が治療に関連したもしくは関連していた可能性があるものだった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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筋電図バイオフィードバックは女性尿失禁に対する骨盤底筋訓練に有効なのか?:多施設共同研究(解説:宮嶋 哲 氏)-1313

コメンテーター : 宮嶋 哲( みやじま あきら ) 氏

東海大学医学部外科学系泌尿器科学 主任教授