双極性障害(BD)では、加齢に伴う白質の変化が報告されている。しかし、この加齢に伴う変化が、疾患特有のものであるかはよくわかっていない。広島大学の増田 慶一氏らは、うつ病およびBD患者と健康対照者(HC)の加齢に伴う白質の変化を年齢別に調査し、年齢を制御することにより疾患特有の影響を評価した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年10月22日号の報告。
対象は、HC群96例(20~77歳)、うつ病群101例(25~78歳)、BD群58例(22~76歳)。54の白質路における拡散テンソル画像から得た異方性(fractional anisotropy:FA)を比較するため、年齢の線形効果および2次効果で制御した後、一般線形モデルを用いた。年齢に伴う影響および各群の相互の影響は、モデルにより評価した。
主な結果は以下のとおり。
・加齢に伴う白質の有意な変化は、年齢の線形効果および2次効果で制御した後では、左側脳弓柱および脳弓体で認められ、年齢の2次効果で制御した後では、左側脳梁体で認められた。
・BD群は、ほかの群と比較し、FAが有意に低かった。
・各群における年齢による影響に違いは認められなかった。
著者らは「年齢で制御した後、BD群では有意なFAの低下が認められた。BDの白質異常は、年齢とともに進行するわけではなく、若年層で発生する可能性があることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)