『新型コロナウイルス感染症回復患者専用抗体検査PROJECT』を立ち上げていた横浜市立大学の山中 竹春氏率いる研究グループは、12月2日に行った「新型コロナウイルス感染6ヵ月後における抗ウイルス抗体保有および中和抗体保有調査に関する中間報告」の記者会見で、感染症回復者のほとんどが6ヵ月後も抗ウイルス抗体および中和抗体を保有していることを明らかにした。
日本初の国内最大規模の回復者データに基づく本研究は、COVID-19回復者の一定期間後の追跡調査として『コロナ回復者専用抗体検査PROJECT』で参加者を募集。8~9月に617名の参加希望者が集まり、そのうち10月26日までに採血して検体測定を完了した376例のデータを解析した。今回の中間報告では、抗体保有率のほか、COVID-19回復者のうち酸素投与を要した中等症・重症例のほうが軽症例よりも中和活性が高い傾向であることも示唆された。
これまでの海外の報告では「中和抗体の活性が検出限界以下、もしくは非常に低い感染者がいる」「抗ウイルス抗体が早期に消失する」などと言われているが、今回の結果によれば、感染から中長期後の回復者の体内に中和抗体が確認されれば、そうでない場合に比べて再感染する可能性は低くなる。今後、回復者の1年後の状態が調査されるほか、厚生労働省主導の抗体保有率疫学調査が12月19日から東京都、大阪府、愛知県、福岡県の各3,000人を対象に実施されることから、これらの調査結果の報告が待たれる。
(ケアネット 土井 舞子)