肺塞栓症研究会と日本静脈学会は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による静脈血栓塞栓症の発症有無に関する緊急アンケートを合同で実施し、総計77施設(1,243例)より回答を得た。その結果、肺塞栓症は5例(0.4%)、静脈血栓塞栓症は7 例(0.6%)に発症していたことが明らかになった。今回のアンケート調査では、COVID-19 症例の中で肺塞栓症を含む静脈血栓塞栓症と診断された症例は欧米に比してかなり少数だった。これを踏まえ、横浜南共済病院の孟 真氏率いる調査事務局の研究者らは、「“発症自体が本当に日本人で少ない”のか、“診断されていないだけ”なのかを判断する事は困難である。しかし、欧米の指針に準拠した予防対応が適切であるか、国内でのコホート/レジストリベース研究を含むさらなる研究を行うことが喫緊の課題」としている。
また、感染症指定医療機関の有無に関わらずCOVID-19症例の入院を受け入れている施設が多いものの、COVID-19症例での血栓症予防に関して、指針やマニュアルが存在する施設が少数であったことも明らかにしている。
(ケアネット 土井 舞子)