研修医が希望する研修病院の特徴とは?

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/28

 

 わが国では、2004年から2年間のスーパーローテートによる初期臨床研修プログラムが導入された。同時に最も適した研修プログラムを決定するため、全国的にマッチングシステムが確立された。毎年、研修医と研修施設とのマッチングの結果が公表され、双方で一喜一憂する姿が散見されている。研修医に人気の高い研修施設とは、どのような施設なのだろうか。順天堂大学医学部 医学教育研究室 西崎 祐史氏らはマッチングで人気の高い研修施設の特徴を検討した。

 この研究では、2019年度の医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)中間発表データから、各研修プログラムの応募枠数あたりの第1希望の応募者数(マッチング比)を比較した。比較に用いた変数は臨床研修プログラム検索サイト(REIS)などから抽出した、給料、ボーナスの有無、年間の受け入れ救急車件数、都道府県あたりの人口、シニアレジデント(卒後3~5年)受入数、新幹線の駅の有無などの情報であった。同一施設内の研修プログラム間の相関は一般化推定方程式で考慮された。

研修医に人気の市中病院

 1,020施設の1,363プログラムが解析対象となった。研修医に人気のある研修施設の特徴は、市中病院(大学病院と比較してマッチング比は2.10倍、95%信頼区間[CI]、1.75~2.53)、救急車件数が多い病院(年間1,000件増加あたり1.05倍、95%CI、1.03~1.08)、人口の多い地域での立地(人口100万人増加あたり1.05倍、95%CI、1.02~1.08)であった。一方で、給料やボーナス有無はマッチング比と有意な関連を認めなかった。

 以上の研究結果から、研修医に人気の高い研修施設の特徴は、金銭的インセンティブよりも、救急車受け入れ台数の多い施設などに現れることがわかった。マッチングで人気を得て、優秀な研修医を獲得する人気病院となるためには、より多くの救急患者を受け入れることが可能となるように診療体制を充実させる必要があるだろう。

(ケアネット 稲川 進)

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