COVID-19に関連したうつ病、不安神経症、不眠症、PTSD、精神的苦痛(PD)の有病率を推定するため、カナダ・オタワ大学のJude Mary Cenat氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2020年11月26日号の報告。
Medline、Embase、APA PsycInfo、CINAHL、Scopus、Web of Scienceより検索を行った。うつ病、不安神経症、不眠症、PTSD、PDの有病率について性別、医療従事者、調査対象地域におけるグループ間の違いを評価するため、ランダム効果メタ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・2,189件の研究をスクリーニングし、136件について評価した。その内、メタ解析の選択基準を満たした研究は、55件(18万9,159例)であった。
・うつ病の有病率は、15.97%(46件、95%CI:13.24~19.13)であった。
・不安神経症の有病率は、15.15%(54件、95%CI:12.29~18.54)であった。
・不眠症の有病率は、23.87%(14件、95%CI:15.74~34.48)であった。
・PTSDの有病率は、21.94%(13件、95%CI:9.37~43.31)であった。
・PDの有病率は、13.29%(19件、95%CI:8.80~19.57)であった。
・グループ間の違いは、非医療従事者と比較し、医療従事者における不眠症有病率の高さのみで認められた(z=2.69、p<0.05)。
著者らは「COVID-19による短期的なメンタルヘルスへの影響は、影響を受けた地域および性別において同様に大きいことが示唆された。しかし、医療従事者においては、不眠症の有病率が、非医療従事者よりも有意に高い」としている。
(鷹野 敦夫)